水間鉄道1000形|FTN trainseat.net

水間鉄道1000形

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南海本線の貝塚から水間観音に至る水間鉄道、大阪への通勤圏とあって20分ヘッドの高頻度運転ながらどこか長閑な印象もあります。そこで活躍するのが東急7000系を譲り受けた1000形で、当初は7000系と称し1990年に導入されました。導入と同時に架線電圧を昇圧することで足回りの改造を回避、5編成の内2編成は先頭化改造車かつ同社初の冷房搭載車です。元から先頭車だった編成も後年2編成が冷房化されましたが、経営危機を乗り越え2006年からはATSの整備と車両の更なる長期使用を見据えた更新工事を実施しました。
更新工事といっても車体は堅牢なステンレス製ですから大きな手入れは不要、足回りも十分使用に耐えるとの判断から変更は無く、外観で目立つのは1編成毎に異なる帯色と行先表示のLED化、ATS車上子保護のためのスカート設置などでしょうか。これに伴い形式を現在の1000形に改め、車番の振り方も変更しています。なお非冷房で残っていた1編成はATS設置・更新工事も受けず、かといって廃車にもならず現在に至っています。近年は格安で可能なヘッドマーク掲出や車庫でのイベント企画など、ファン向け企画も充実しているようです。もっとも訪問時最初に来た電車が「誰かの顔写真に『鉄道愛』の文字」のヘッドマークを掲出していたのには絶句しましたが…


mz10-車内全景

車内全景です。基本構成は変わらず3扉・ロングシートを踏襲、可能な限りコストを抑えた更新工事ですが車内も内張りの全取替を行っており、全体的に明るい印象の車内となっています。

mz10-車端部

車端部です。貫通路は側扉と同じ1300mmと広く、両端駅の改札位置やワンマン運転による中間駅での降車など隣車への移動が多い同線には都合が良さそうです。

mz10-乗務員室仕切1mz10-乗務員室仕切2

大きな窓が特徴の乗務員室仕切です。左は当初からの先頭車、右は先頭化改造車の様子ですが両者に特段の差異はありません。手前には中間駅での運賃収受に用いる運賃箱を設置(両端駅は駅収受)、交通系ICカードの全国相互利用に対応しています。
仕切戸は運転台側に開く構造で、車掌台側に開く前面貫通扉と共に併結時に通路を構成する役割を担いますが、一方で車内で運賃収受を行うワンマン運転には向かない構造のように思います。これが特に問題にならないのは仕切戸の窓が大きいうえに開閉可能だからでしょう、お陰で仕切戸を取り払ったり駅に着くたび仕切戸を開閉したりするようなこともなくワンマン化できています。

mz10-車椅子スペース

車椅子スペースは乗務員室直後を整備し充当しましたが、これはちょっと苦しいような感が… 関西圏だと京阪5000系でも似たようなことをしていました。

mz10-LED

各車車端部には更新時にバス用を流用したと思しきLED式の情報案内装置を設置。次駅案内のほか運賃表示も行います。

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扉は1300mmの両開き。中間駅からの乗車口は前の車両の中扉から、座席が扉のすぐ横まで迫っているため整理券発行機は扉側に張り出しての設置となります。右写真は連結面寄りの扉、鴨居部に「締切」と大書きされていますが有人の両端駅では全扉が開放されます。また改造当時には貝塚で接続する南海電車にも付いていなかった開閉予告灯も設置しています。

mz10-天井

天井です。冷房は先頭化改造を行った2編成は入線当初から搭載した一方、元から先頭車だった2編成は自社で冷房化改造を実施しています。冷房装置は北鉄や福島交通への譲渡車とは異なり屋根上搭載でダクトの無い分散式、他社の同程度の車体長の車両に比べ幾分性能が不足するようで扇風機も存置しています。蛍光灯はカバー無し、吊革は座席部のみの設置です。

mz10-吊革広告1mz10-吊革広告3

一部箇所には「東急百貨店」「109」など東急時代からの吊革広告が残ります。何れも関西圏では馴染みが薄く、後者は近年になって阿部野橋に開店したようですが、東急百貨店は前身の白木屋時代まで遡る必要があります。

mz10-床

床は緑系でレール方向に模様が入っており、全体的に明るい車内にあってここだけは濃いめの色合いです。この柄はどちらかと言うと鉄道車両以外でよく見かけるような印象です。

mz10-窓

窓は扉間3枚・車端1枚で東急18m級3扉車の一般的な配置、上段下降・下段上昇式(但し下段は固定化)で開口部は950mmと大きめ。カーテンは巻き上げ式で3段階の調整が可能です。

mz10-10人掛け

座席は2種類、まずは扉間から。東急時代から寸法等は変わらず、1人当たり幅450mm程度の10人掛けと言ったところでしょうか。同世代の南海電車に比べると奥行きが浅いようですが、乗車時間からしてもそこまで気にならないでしょうか。モケットは更新で張り替えられており淡いオレンジ色となっていますが、汚れや褪色は大丈夫かなあ、と余計な心配をしてしまいます。

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車端部は4人掛け、貝塚方先頭車に設けられた優先席のモケットは青灰色としています。

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運転台です。左が元からの先頭車、右が先頭化改造車ですが、レイアウトは特徴的な形状の計器カバー含め極力統一されています。


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