近鉄22000系
1988年に登場した「アーバンライナー」が新たな顔となった近鉄特急ですが、その広大なネットワークを支えるのは短編成を適宜繋いで柔軟な運用を行う汎用特急車です。10400・11400系の老朽化が目立ってきた1992年、これらを置き換えるべく登場したのが22000系「ACE」です。(微妙に色味が変更されたようですが)伝統の特急色をまとった車体は従来車に比べ高い屋根が特徴、足回りは同時期の一般車では標準となっていたVVVFインバーター制御やボルスタレス台車を採用しています。
4連15編成、2連13編成が製造され、近鉄標準軌各線の特急で運用されています。2015年からはリニューアル工事が開始されており、本項で紹介する内装の車両は数を減らしています。
まずは車内全景から。21000系に続き灰色系の配色ではありますが、それが一層くっきりと出ているでしょうか。従来車との違いは一目瞭然、21000系「アーバンライナー」ともまた違った印象です。
デッキとの仕切りです。白基調ですが、ドアの左端が黄色になっていて、さりげなく注意喚起をしています。右側は車いすスペースに対応して観音開きの扉になっています。
本形式では21000系で設置が見送られた情報案内装置がお目見え。LED式で表示サイズは小さめ、この手の装備で大概ひとまとめにされる号車表示は別に設けられています。
天井です。照明は間接照明、中央のラインは空調の吹き出し口。この構成は後の22600系にも引き継がれています。
座席は全く新しい設計の物を搭載。21000系2次車でお目見えした中央肘掛は本形式も装備、インアームテーブルは収納方式が変更され(こちらの方が一般的でしょうか)この手のテーブルにしてはかなり大きめです。回転はペダルを踏んで行う一般的なタイプになっており、折り返し時の回転作業を軽減すべく自動回転装置が仕込んであります。シートピッチは1000mm、21000系よりは狭いですが従来の汎用特急車よりは拡大されています。
しかしこの座席、背摺り・座面ともとにかく硬いんですね。正直なところ京奈特急くらいの乗車時間で勘弁してほしいところ、それ以上はちょっと…
本形式には近鉄特急初となる車椅子対応設備が設けられ、1人掛け席が登場しました。背摺りや座面は2人掛け席と同じですが、肘掛は全く別物で跳ね上げ可能になっています。また脚台には固定ベルトも見えますね。この構造ゆえインアームテーブルは無く、前後の仕切りを見るとテーブルはおろかポケットすら無く… 後ろの仕切りはやけに立派で蓋も付いているのですが、中には何が入っているんでしょう。
背摺りのヘッドレスト部は両脇が少し出っ張って頭を預けることを想定した造りです。枕カバーは観光地伊勢志摩をイメージしたもの。
座席背面にはポケットを設置、周囲を樹脂カバーで覆っています。
21000系に続きフットレストが装備されています。構造は21000系とは異なる単純な跳ね上げ式、土足禁止面はありません。なお脚台に蹴込があるのでフットレストを用いずとも足を伸ばすことは可能です。
仕切にも足掛けのようなものがありますが、これは…
荷棚には補助照明とスポット空調が仕込まれています。
■デッキ・付帯設備■
長らく折り戸を用いてきた近鉄特急の客用扉ですが、本形式から縦に大きな窓が特徴のプラグドアになりました。有効幅も幾分広くなっています。
大阪方先頭車のデッキには21000系に続き公衆電話を設置していましたが、現在は撤去されているようです。
洗面台は洋式トイレの手前、乗降扉寄りに設けています。近鉄特急伝統のおしぼりはここ洗面台に用意されています。
トイレです。本形式では和式トイレが廃され洋式と男子小用の2種類となりました。左写真は4両編成にのみ設置の車椅子対応トイレで、壁沿いに設けられた手摺りが目立ちます。
手洗いは両者共通で、ツマミを押すと一定時間水が出る仕掛けです。
4両編成の中間車には車販準備室が設けられていますが、現在汎用特急車での車内販売営業は無くシャッターが閉ざされています。
前面展望はこんな感じ、見通すことは出来ますがオレンジ色の世界が広がります。
運転台は電気指令式ブレーキの採用もあってデスクタイプとしています。
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