近鉄30000系(ビスタEX)|FTN trainseat.net

近鉄30000系(ビスタEX)

写真: V07(30207)

近鉄の看板特急といえばやっぱり2階建ての「ビスタカー」、その3代目として1978年に登場したのが30000系です。特殊な構造だった従来のビスタカーとは異なり21m級の一般的な車体、前面貫通式で他の特急車と問題なく併結運用できる点が特徴です。また名阪特急を念頭に製造された10100系とは異なり伊勢志摩への観光特急を念頭に置いた設計とし、運用上も観光客が大阪・京都・名古屋から伊勢に向かう時間帯の特急に投入する運用としていました。

しかし21000系「アーバンライナー」や23000系「伊勢志摩ライナー」などより目立つ特急車が次々登場すると、2階建てがあるとはいえどうしても脇役のような立ち位置になってしまった30000系。その魅力を引き出すべく、1996年からリニューアル工事を開始。2階建て車の大幅な改造や塗装の変更を行い、「ビスタEX」の愛称も付きました。2000年までに全15編成がリニューアルされ、パンタグラフの削減で重連も可能になるなど運用上も自由度が向上しています。
2010年からは2度目のリニューアルが実施され、現在本項でご紹介した内装の車両は消滅しています(その様子はまたいずれ…)。


 300-車内全景300-V車内全景1

まずは車内全景から。左の平屋建て車は同時期の特急車と同様の更新メニューですが、登場時の緑系から緑系(従来とは別物)・オレンジ系の2色のモケットを用いており他車とは雰囲気が異なります。一方右写真の2階建て車は車体上部を一から造り直しており、断面が20000系「楽」と同様になっています。緑系とオレンジ系のモケットはいずれもランダムで配置されていますが、ご覧頂くと分かるように平屋建て車は緑系、2階建て車はオレンジ系を主体に用いています。

300-車端部300-車端部設備

デッキとの仕切りはガラス製に変更しています。インアームテーブルがあるので不要と言えば不要ですが、最前席用の付帯設備は特に何もありません。

300-V車端部300-V段差

2階建て車の車端部は一段下がったところに両開きの扉を設けています。2階建て車は中央に乗降扉がありますのでこの扉の向こうは隣の車両です。1段だけの段差とあって、床にも注意喚起を兼ねた照明を仕込んでいます。

300-天井

平屋建て車の天井は他車と同様の構成です。照明はカバー付きの直接照明、中央に空調吹き出し口が貫いています。

300-V天井

2階建て部の天井です。通路部を一段高く取っており、両脇には荷棚を設けていますが収容力には期待しない方が良さそう。荷棚を区切るようにして、等間隔で照明を設けています。

300-床

床敷物はクリーム系の砂柄。

300-V窓

1席ごとに設けていた窓は先頭車同様2席に1枚となり、開放的な空間に仕上げています。カーテンは横引き式、線路方向にパイプを通して動かします。窓側席の頭上にあるのは補助照明…と言いたくなるところですが、車内全景を見て頂くとお分かりのように通路部の照明より数も照度も多くこちらが主照明と言えそうです。

300-座席1300-座席3

座席はリニューアルで何故か背摺りだけ交換しています。座面は沈み込みの大きい従来同様の感覚に対し、背摺りは22000系同様硬め。結果的に何とも不思議な座席に仕上がってしまいました。

300-座席全展開

基本構造は従来通りですのでリクライニングは連動して座面がスライドします。テーブルも従来通りのインアーム式。中央肘掛はありません。座席の写真は全て平屋建て車のものでシートピッチは980mmですが、2階建て車は車体上部の作り直しで1000mmに拡大されています。

300-座席背面300-座席足下

背摺り背面は樹脂製の裏板で覆いポケットを設けています。脚台には蹴込を設けており多少ではありますが足を伸ばすことも出来ます。

300-V1階1300-V1階2

2階建て車の階下席は6人分の半個室のような構造です。リニューアルで座席を交換しており、リクライニングこそしないもののソファ然とした仕上がりです。テーブルは無く窓側席は窓框(やけに厚いので機器でも入っているのでしょうか)を、中央寄り席は肘掛先端の化粧板を張った部分を用いることになるようです。

しかしこの半個室的な空間は2010年まで他の席と同様の扱いで、決して広くない空間に見ず知らずの人が押し込められてしまう場面もあったかと思います。2度目の更新と同時に「グループ席」と位置付けられ特急券の売り方も変更され、現在は前述のような事態は発生しません。


■デッキ・付帯設備■

300-ドア300-Vドア

扉は特急車伝統の折戸。右は平屋建て車、右は2階建て車で、後者の方が幅を広く取っています。

300-V出入台

2階建て車は中央に客用扉を設けた特徴的な構成、そのお陰でデッキはご覧のように他車には無い開放的な空間となっています。

300-トイレ1

トイレです。写真は名古屋方先頭車の和式トイレですが、大阪方先頭車は洋式トイレに交換しています。

300-洗面台

この世代の近鉄特急の洗面所はデッキにあるイメージが強いですが、本形式は独立して設けられています。


300-運転台

運転台は基本的に通勤車と同じような配置。

300-先頭貫通路

複数編成の併結列車が多いのも近鉄の特徴、乗務員室仕切には窓が無く前掲の運転台写真も貫通路の脇からしか覗くことが出来ません。

300-前面展望

仕切戸に窓があるので前面展望が効くと思われるかもしれませんが、そう上手くはいきません。確かに前は見えるのですが着色ガラスでして、オレンジ色の世界が広がります。

座席系

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