甘木鉄道 AR300形
福岡都市圏に近くJR・西鉄とも接続していることから安定した収益を上げ「第三セクター鉄道の優等生」とも言われる甘木鉄道、開業時に投入したレールバスを置き換えるべく2001年に登場したのがAR300形です。富士重工製のいわゆる「LE-DC」の一族ですが、運転室側扉が無いのはちょっと珍しいかも。富士重工が鉄道車両から撤退した後は新潟トランシスが製造を引き継ぎ、2006年までに7両を投入し既存車を全て置き換えました。塗装は白基調にピンクと緑の帯だったのですが、2010年頃から塗り替えが進み1両ずつ異なる色に。写真は乗車した国鉄急行型気動車色ですが、地元の高校生によるデザインなど彩り豊かになっています。
まずは車内全景から。撮影は夏の晴れた日で、当然陽の光は十分あったのですが、カーテンを全て閉めていることを差し引いても暗めに感じてしまうのは寒色系の配色にもよるでしょうか。蛍光灯を一部抜いている影響もあるでしょうが… 車両によって車内の配色が異なるようで、軽快気動車では一般的なセミクロスシート車ではありますが、短距離で利用も多い路線とあってボックスシートは片側2か所のみと最低限としています。
先頭部分です。運転室は半室、客用扉位置は左右非対称と一般的な配置。前述の通り運転室扉がありませんから、運転士は客室を通って出入りすることになります。
天井は中央にダクトを通し両側に蛍光灯を配す構成としています。吊革はロングシート部のみの設置です。
床は黄色がかった何とも言い難い色…
扉はステップ付き、幅は他社の同形車と同等の900mm程度と思われます。ステップに切り欠きを設け2段とした点が特徴で、これは他社でもあまり見ないような気がします。
窓は開閉可能で下段上昇式、カーテンは横引き式です。
座席を見ていきましょう、まずはボックスシートから。富士重工製の車両と新潟トランシス製の車両では座席が異なっているらしく、今回ご紹介している後者は223系2000番台の固定座席を立てて設置してしまったような見た目です。嫌な予感しかしない座席、実際に座ってみてもほぼ直角の背摺りに硬めの座面では何ともなりません。独自仕様かと思っていたのですが実際のところ採用が早かったというだけのようで、いわゆるNDCのほか思わぬ所で遭遇することもありました。今も他社でじわりじわりと増殖している様子ですが、正直勘弁願いたいところ…
8人掛けロングシートは基山方に設置、こちらも何だか扁平な印象です。写真の区画は優先席のようで大きいステッカーが目立ちますが、どこまでを指しているのかよく分かりません。「だいたいこの辺」という緩い運用でしょうか。
甘木方には9人掛けと7人掛けを設置、後者は排気管が立っている影響で生まれたようです。
基山方には車椅子スペースを設定、大きめの渡し板を備え付けています。整理券発行機の横にあるバケツは何でしょう、ゴミ箱でしょうか。
運転台はLE-DC標準の構成。