名鉄6500・6800系 ロングシート車(金魚鉢)
1991年から製造された名鉄6800系は、車体こそ変更がなかったものの、車内はオールロングシートで登場しました。「名鉄初の本格通勤車」である6000系列ですが、オールロングシート車はこれが初。翌年には6500系も同仕様で製造されましたが、これが両形式のみならず6000系列全体の最終増備車となり、以後の増備はVVVF制御・電気指令式ブレーキの3500系などにより行われることとなりました。
この仕様・この車内の6800系は8編成、6500系に至っては2編成しか存在しません。6800系は2011年にワンマン化改造が行われ尾西線・豊川線のワンマン運転で使用されていますので、両線では高い確率で乗車することが出来ます。一方6500系の2編成は、他の4連に紛れて運用されているため中々見つけることが出来ません。
まずは車内全景です。座席配置のみならず配色まで大きく変更されており、まるで全く違う電車のような印象です。元はモケットも紫色で全体的に寒色系の配色でしたが、旧モケットの座席については後で触れることとします。
車端部です。この部分は従来の6500・6800系と比較しても、化粧板や床の配色を除けば殆ど変更されていません。
乗務員室仕切ですが、こちらは化粧板も含めて従来と変更がありません。
なんだか賑やかな天井です。端に蛍光灯、内側にラインデリアという構成は変わっていませんが、扉付近では枕木方向へのパイプを設け吊革を増設しています。流石に多すぎたのか、3500系では取り止められています。
床は薄い灰色をベースとし、中央にフットラインを意識した柄を描いたもの。このデザインも基本的には3500系以降に継がれますが、フットラインの柄は変更されています。
まさか本当に3500系と同じ床材に変更する車両が出てくるとは思いませんでした。2014年に1編成だけ施工されたようですが、今のところその1編成に留まっています。扉間だけ写していれば本当に3500系だと騙せてしまうのですが、扉付近の黄色い滑り止めがポイント。写真は電動車ですからトラップドアがある点も見逃せません。
扉は従来と同じ1300mmですが、窓が上方向に若干拡大されています。それよりも気になるのは扉付近の驚くべき広さ。1960年代の関西私鉄などで見られた設計ですが、クロスシートを止めたかと思ったら座席を削ってまで立席スペースを確保し、それに対応すべく吊革まで増設するという徹底ぶり。随分と極端な変更ですが、クロスシートの車両と共通運用なのが何とも…
窓です。ここも大きな変更がなく、更に言えば3500系でも変更されていません。
ここからは座席を見ていきます。扉間は扉横に大きくスペースを設けたため6人掛けとなりました。モケットは当初左のような紫色に3本のラインを入れたものでしたが、褪色が著しいため全て茶系のものに交換されたようです。背摺りの形状は従来と同じ「く」の字型で、そんなことをする機会はまず無いかと思われますが3500系と判別するときのポイントとなります。
車端部は5人掛け。クロスシート車の段織りモケット、ロングシート車の紫系モケットが共に取り替えられた結果、ロングシート部については同じ茶系モケットに統一されたことになります。
こちらは優先席を設けた5人掛け。紫系モケットでは横に入るラインを水色にして区別していますが、正直なところあまり目立ちません。一方モケット取り換え後は、クロスシート車の優先席のように背摺り全体を青系にして区別しています。
乗務員室直後は2人掛け。こちらは岐阜方の優先席に指定されていない区画。
こちらは豊橋方乗務員室直後の2人掛け優先席。
これで終わりと思いきやこんなものが出てきました。写真は1991年製の6800系5次車ですが、何を思ったのか座席が扉の真横まで迫っています。右側の写真はそれがはっきり分かる1枚で、袖仕切りの上に申し訳程度に設けられた取っ手が印象的です。座席幅は1人当たり550mm近くあるものと考えられますが、ここまで広いと隣との間が妙に広がって落ち着きません。かと言って流石に3人座るのは厳しそう。
これだけでも不思議な設計変更ですが、更に気になるのはこれが最終増備車ではないと言うこと。つまりこれまでのクロスシート車からわざわざ設計変更を行い、次のグループでは結局元通りにしたということです。いったい何をしたかったのだろう…
運転台は計器類をブラックアウトしたもの。他の部分も白に塗っているので新しそうな印象を持ちます。右側はワンマン化された6800系の様子ですが、改造は放送用機器と扉スイッチを設けた程度です。
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