長電1000系|FTN trainseat.net

長野電鉄1000系「ゆけむり」

写真: ngS1(1001)

1987年に登場した小田急ロマンスカーの10000形「HiSE」は伝統の展望室付とあって後続形式登場後も看板車両であり続けましたが、愛称の由来であり最大の特徴である「展望室以外全席ハイデッキ」という構造がバリアフリー時代に適応できませんでした。先輩格7000形「LSE」がバリアフリー化されたのに対し本形式は50000形「VSE」投入によって2編成が離脱した…のですが、これに特急車2000系の老朽化で代替車を探していた長野電鉄が目を付け再起を果たしました。

1000系「ゆけむり」と名付けられた本形式は、外観はほぼそのまま編成を11両から4両に短縮。喫茶コーナーや便洗面所がある車両は外されており、どことなく昔販売されていたプラレールのHiSEを思い出してしまいます。都会を出て途中から急坂を上り温泉地に向かう構図は小田急・長電とも似たものがありますし、、長電としては置き換え対象の特急車2000系で検討されながら実現しなかった展望車を40年越しに導入した格好にもなります。
現在はJR東日本253系を譲受した2100系「スノーモンキー」と共に特急運用に充当、運用は分かれていますので狙って乗車することも可能です。今回は通常の特急運用に入る第1編成(元小田急10021編成)の車内をご紹介します。もう1編成(元小田急10061編成)は製造時より一部仕様が異なる上、観光案内付の特急「ゆけむり~のんびり号~」に半ば専従する関係から更に車内に手を加えているようです。


ng10-扉

普段なら車内全景からご紹介するところですが、今回は扉から。本形式最大の特徴は何といっても客室をハイデッカー構造としたことで、幅700mmの折戸が開くとまずステップ…というか2段の階段を登ることになります。客室床面は線路から1510mm、通常の電車より350mm程度高い位置になります。

ng10-車内全景

車内全景です。小田急時代の姿をほとんど変えることなく長野にやってきた格好ですが、所謂「日車ロマンスカー」に括られる2000系とはかけ離れた設備ながら100円と低額な特急料金は据え置かれています。なお小田急10000形には赤系モケットの車両もありましたが、長電では基本的に青系モケットに統一されています。

ng10-デッキ仕切

車端部です。両開きのガラス製仕切戸には小田急時代ロゴが貼ってあったようですが、流石にそれは撤去しています。

ng10-端部(先頭車)

先頭車の扉付近にデッキは無く、透明な仕切を用いて展望室からの風景を後ろの客席にも届けています。

ng10-展望室1ng10-展望室2

展望室は座席を4列配しますが、向かって右側は運転室への昇降梯子があるため1列少ない3列をシアター状に並べています。小田急時代は指定券の争奪戦が繰り返されたであろうこの区画も長電では自由席、今でも列車によっては列を作っての争奪戦になるかもしれませんが平和なもので…

ng10-扉(展望室)ng10-展望室扉付近

ハイデッカー構造の本形式はバリアフリーという言葉が無い時代の車両だけに対応に苦慮するところですが、平床構造の展望室周辺を整備することで解決したようです。折戸で幅も狭い車椅子の乗客には対応出来そうにありませんが、その辺りはJR253系改造の2100系「スノーモンキー」に任せる格好でしょうか。

ng10-補助座席ng10-補助座席展開

右写真右側に見えた折畳み席は現在「介助者席」として通常使用しないよう注意書きがあります。現在は全席自由席とはいえ乗降の妨げになる位置ですから当然と言えば当然なのですが、そもそも全車指定席だった小田急時代にどんな目的があって設けられた席なのでしょうか…

ng10-LED1ng10-LED2

車端部にはLED式の情報案内装置を設置。てっきり小田急時代、あるいは移籍時に設置されたものだと思っていましたが、長野に来て随分してからの改造のようです。日英2ヶ国語の表示で、スペースの問題も大きかったのでしょうが同時に表示できる文字数は少なめ。設置に伴いブルーリボン賞の記念プレートは位置を変更していますが、同じく移設したのかと思った号車表示プレートは最初からこの位置だったようで…

ng10-車掌室仕切ng10-車掌室

先頭車の連結面寄りには車掌室で、扉は片開きです。名鉄沿線民からするとパノラマカーのことがありますから「ちゃんとした仕切がある…!」と感心してしまいますが少し考えれば至極当然のこと、更に左右に分かれた車掌室にもそれぞれ扉が設けられています。

ng10-天井

天井です。照明はカバー付き、中央に所々見えるのは換気装置です。

ng10-窓

窓は2席で1枚、少し高い位置から望む風景もまた良いものです。カーテンは横引き式、窓框は化粧板仕上げとしておりペットボトル程度であれば置くことが出来ます。

ng10-床

写真は少し黄色く出てしまいましたが、床は通路部に赤系の絨毯を敷いています。

ng10-座席ng10-座席展望

座席は回転クロスシート、ここだけ切り取ると先代の特急車2000系と同じだったりします。小田急時代赤系と青系のモケットを1両ごと交互に配していましたが、長電では展望席を除き青系モケットに統一されています。シートピッチは970mm、幅も十分ですが小田急ロマンスカーの伝統として中央肘掛はありません。枕カバーには小布施の菓子メーカーの広告が入っています。

先輩格の7000形「LSE」にあり、他社でもこの手の座席にはあって当然になりつつあったリクライニング機構をわざわざ廃した理由はよく分かりません。その代償ということなのか、背摺り角度はRSEの最大リクライニング時と同じ角度になっているほか、背摺り高さを50mm高くしているようです。ただそれらが良い方向に出ているように感じないのが残念なところ…

ng10-座席展望ボックス

この座席、展望席も中列なら回転させることが出来ますが、床の傾斜のありますし普通そんな使い方はしないでしょう…

ng10-座席背面ng10-テーブル

座席背面です。写真の第1編成は何もありませんが、第2編成は製造時から背面テーブルとカップホルダーが設けられていました。窓側には折り畳み式のテーブルが設けられており、展開すると栓抜きが登場します。足元にはフットレストバーを設けています。


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