長野電鉄3500系|FTN trainseat.net

長野電鉄3500系

写真: ng3507

営団日比谷線で活躍した3000系は世代交代で03系への置き換えが進みましたが、18m級3扉車とあって地方私鉄に引く手あまた…とは行かず、その頃の譲渡車はオールステンレスの東急7000系が目立ちました。その営団3000系を車両の形で導入したのは結局長野電鉄のみ、しかも置き換え最終盤になってまとまった数を確保した格好です。外観は幕板と腰板に赤の帯を入れ、前面窓上にロゴを入れた程度。冷房は導入後に改造で搭載しましたが全車には至らずその前から廃車が始まりました。

2連のN編成、3連のL編成、車内収受型ワンマン対応のO編成がありましたが、東急8500系の導入もあって廃車が進み後2者は1編成ずつの残存。残る編成も製造から50年が経過しそろそろ怪しい頃でしょうか…?

※一部写真は名城大学鉄道研究会様の貸切列車にて撮影したものです。関係者の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。


ng35-車内全景ng35L-車内全景

車内全景です…が早速雰囲気の異なる写真が2枚登場です。なにしろ8連38編成の勢力を誇った営団3000系、営団時代からの仕様差に加え長電入線後の改造もあるでしょうから、残存編成が少なくなった現在でもバリエーションを楽しむことが出来ます。3度の長電乗車で可能な限りバリエーションを拾ったつもりではありますが… 因みに左写真は化粧板を張り替えたN編成、右写真はかなり営団時代に近いと思われるL編成の様子です。

ng35-車端部ng35L-車端部

車端部です。妻窓に加え貫通扉も全車に設けられていますが、6000系以降の営団車とは根本的に考え方が異なっているようです。こちらも左写真はN編成、右写真はL編成の様子ですが、N編成の方は枕木方向にも照明がありL編成で若干感じる妻部周辺の暗さを解消しています。

ng35O-車端部

こちらは現在も唯一残存しているO編成の車端部です。妻窓は増備途上で下降窓から側窓同様の2段窓に変更されているようですが、この車両は製造年次からすると下降窓であるべき車両、更新工事で改造されたのでしょうか。

ng35-乗務員室仕切ng35O-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。運転台側・車掌台側とも窓は小さめ、横引き式の仕切戸は前面展望も可能な大きさの窓を設けています。左はN編成、右はO編成ですが、後者は屋代線の車内収受式ワンマン運転に対応して運賃箱や運賃表を設けています。

ng35-運賃表
運賃表です。運賃箱共々これらは現在使用機会が一切無い訳ですが、撤去されること無く現在に至っています。

ng35-扉ng35-扉2

扉は両開き、窓は営団時代に全て小さいものに変更されています。先頭車は営団時代に更新対象となったため化粧板を省略した状態ですが、L編成の中間車は製造が比較的新しく対象から漏れたため化粧板張りが残っています。なお座席が扉のすぐ横まで設けられており、立席スペースは殆どありません。

ng35O-床

編成による相違点が多い車内ですが、床は全車灰色一色のようです。

ng35L-天井1ng35O-天井

天井です。長電入線後に行われた冷房化改造は分散式冷房を1両2基搭載するもので、一段出っ張った吹き出し口が目立ちます。一方右側は非冷房のO編成、ファンデリアが等間隔で設けられています。照明は蛍光灯の直接照明ですが、元々カバーが付いていたことも関係しているのか近年の電車に比べ本数が多く明るい印象です。吊革の持ち手は全車共通で三角形。

ng35L-天井2

こちらはN編成中間車の様子。最終増備車にあたるこの車両は荷棚がパイプ式から網棚に変更されています。

ng35L-天井2ng35L-扇風機

L編成の中間車は1970年製造の最終増備車にあたり、ファンデリアの代わりに扇風機を設置。その扇風機、よく見ると中央部には営団マークが残っています。

ng35-窓ng35-窓2

本形式の特徴の一つがこの窓です。一見通常の2段窓かと思いきや、上段上昇・下段上昇式で「上の窓が下の窓に載っている」本形式以外例のない構造です。窓を開ける順序としてはまず上の窓を全開にし、その後下の窓を開けるという流れになります。更に日除けはカーテン地を金属枠で固めた、油絵を描くときに用いるキャンバスのようなもので窓面積の半分程度をカバーします。地下鉄車両とは言え郊外への直通が前提、正直何がしたかったやら…と思わないでもありません。

ng35-10人掛けng35L-10人掛け

座席を見ていきしょう、扉間は10人掛けロングシートです。座席モケットは茶と青の2種類がありますが、青のモケットはL編成のみのようです。1人当たり幅は430mmと一般的な数値。袖仕切りはパイプ式ですが立客・着席客の分離や着席客の肩逃しなどを上手く考えられた造りです。

ng35-3人掛けng35L-3人掛け2

車端部の3人掛けは基本的に優先席のようで、そうでない車両はL編成の中間車しかありません。妻部には機器箱がありますが、右写真のようにかなり大きく張り出している区画もあります。しかし扉脇の寸法は一緒、機器箱の分だけ純粋に有効幅が狭まっているということです。

ng35O-3人掛け優先ng35-3人掛け優先2

何気に種類が多いのが優先席。左写真はN編成やO編成で見られる、背摺りに白いグラデーションが入った営団仕様。対して右側は背摺り・座面とも灰色系ですがどうも色合いが異なります。

ng35-3人掛け優先3ng35L-3人掛け優先

また別のN編成ですが、上の右写真と同じ灰色の背摺りに通常席と同じ茶色い座面… 座面だけ交換したのでしょうか。更に右写真はL編成の優先席、臙脂色のモケットが特徴です。


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