南海2230系
ズームカーと言われると、見たことも無いのに淡い緑に濃い緑の帯の電車を思い浮かべてしまいます。今回紹介する2230系も元はと言えばその仲間である1969年登場の22000系で、17メートル級の車体は変わらないもののスタイルは同年登場の南海本線7100系に似たものとなり、車内も混雑に対応すべくオールロングシートとされました。2両編成としたため、2編成繋げての高野山直通のほか平坦区間での増結にも用いられました。
1990年から後継車2000系の製造が始まると22000系は支線転用が開始され、今回紹介する2230系は最初から吊り掛け駆動の車両が残っていた支線への転用を前提に改造されました。高野線に残す計画だった2200系も後に支線転用されたので、両者の差は微妙な改造メニューの相違しかありませんが、前面幌枠が残っているか否かで判別できます。現在はいわゆる汐見橋線、高師浜線、多奈川線の全列車と加太線の一部列車で使用されています。
車内全景です。車体は通勤車に比べ3メートル近く短いですが、車内は色遣いもパーツも他の車両と同じになっています。同じ時期に高野線で活躍していた21000系から漂っていた特別な雰囲気は無く、あくまでズームカーの性能を持つ通勤車であることを窺わせます。
車端部は7100系の長い方の車端部と同じ構成です。7100系だとこの長い車端部は違和感を覚えてしまう部分ですが、こちらは不思議と落ち着いて見ていられます。
乗務員室の仕切りです。やはり他の通勤車と同様に車端部に準じた構成、運転台側は着色ガラスを用いています。
扉は両開き、1300mm幅です。座席は扉の真横まで迫っており、扉横に立席スペースは用意されていません。
天井です。冷房は殆どの車両が改造で設置されており、他の通勤車と同じく分散式で1両当たり7基搭載です。照明も南海標準の蛍光灯カバーなしですが、長らく一緒に使用されたズームカー21000系と比べると実用本位な印象です。
床はクリーム色、柄が入ったものです。2200系に乗る機会もあったのですが、2230系とは異なり茶色の単色塗りでした。
窓は一段下降窓を採用しています。カーテンは引き下ろし式、ストッパーは4段階です。
座席を見ていきます。扉間は14人掛けくらいでしょうか、長いです。
車端部・乗務員室の後ろは基本的に6人掛けです。
車いすスペースを設置した箇所は4人掛けになっています。車いすスペース自体は本当に場所を確保しただけという趣ですが、扉チャイムや開扉中の盲導鈴なども支線転用の際に設置したとのこと。改造の時期を考えると致し方ないかもしれません。