西鉄600形|FTN trainseat.net

西鉄600形

写真: ns606

600形は1962年に大牟田線向けに投入された高性能通勤車で、57両と当時の西鉄にしてはまとまった両数が投入され特急から普通まで幅広く充当されました。車体が従来に比べ1m長くなり、代償なのか車体幅が幾分狭まって前面は西鉄特有の縦長な印象。この車体寸法と3扉・ロングシートの構成は現在に至るまで概ね引き継がれています。
1990年代に入ると新造車の投入で甘木線そして宮地岳線(貝塚線)への転用が進みましたが、後者については今なお健在…どころか2015年に至って全車が本形式に統一されました。最後の1編成は天神大牟田線の救援車を転用し再度旅客車化するという力の入れよう?で、現在は2連8編成が在籍しています。


ns60-車内全景

まずは車内全景から、狭めの車体幅と高めの天井から縦長な見た目が特徴的です。製造から半世紀以上が経過し必要に応じて適宜手を加えているとはいえ、車内の雰囲気を一変させるような大きな改造は無く、昭和の通勤車をそのまま丁寧に使い続けている印象です。

ns60-車端部

車端部です。貫通扉の無い広幅の貫通路は西鉄標準と言った印象ですが、登場時から同じ向きのMc車を2両連ねての3連はどうしていたのでしょうか(恐らくアダプターを噛ませていたのだろうと思いますが)。

ns60-乗務員室仕切ns60-乗務員室仕切2

乗務員室仕切です。側窓と同じ天地寸法の仕切窓を設けた構成は当時の関西私鉄、何となく阪神電車に似ているかなあ、と思ったりします。車椅子スペースの有無については後述しますが、この期に及んで(?)全車に設けられた結果左写真のように両側とも座席がある形態は過去のものとなったようです。

ns60-床

床は灰色一色。

ns60-天井

天井です。冷房は全編成が改造による設置、分散式でダクトは通っておらず、手前にある扇風機が空気の循環を担います。吊革は枕木方向にも比較的多く設けられており、日頃中部・関西圏の電車に慣れ親しんでいる管理人はちょっと驚いてしまう数。蛍光灯はカバー無しとしています。

ns60-扉ns60-扉

無塗装の扉は西鉄初の両開き式。袖仕切は縦方向のパイプがそのまま天井まで延びる変わった形状、鴨居部の張り出しが大きいのも特徴的です。左は2016年、右は2019年に撮影した写真ですが、その間に(車椅子スペース設置と同タイミングでしょうか)戸袋寄りに縦の黄色いテープを追加したようです。

ns60-窓

窓は上段下降・下段上昇式で阪神電車と同様に扉間は3連、車端は2連窓となっています。青いカーテンは巻き上げ式で4段階で調節可能。網棚は窓のある部分にしか設けられていないので注意が必要です。

ns60-8人掛け

座席に入りましょう、まずは扉間の9人掛けから。1960年代の一般的な通勤車の座席と言った趣で、座席モケットに天神大牟田線系とは異なり蘇芳色無地を用いている点がその意を一層強くしているのかもしれません。窓枠上部には定員着席を促すシールが貼ってあるのですが、形式図を見ると1人当たり約425mmでは流石に窮屈そう。

ns60-5人掛け優先

車端部は5~6人掛け、すべて優先席とされこちらは天神大牟田線と同じ青色のモケットを用いています。座面は奥行きがちょっと浅めかな、と感じますが全線乗り通しても30分未満ですから大きな問題ではありません。

ns60-3人掛け

乗務員室直後は余裕のある3人掛け。西鉄でこの位置に座席があるのは本形式が最後、その後「展望席」的な目的をもってこの位置に座席を設けた8000形もありましたが、まさか先に消えるとは思わなかった訳で… 

ns60-車椅子スペースns60-車椅子スペース2

製造から50年以上が経過する本形式ですが、近年になって車椅子スペースを新設しました。左写真は冒頭にも記した救援車改造の614Fで一般的な仕上がりになっていますが、貝塚線の工場で改造した別の車両を見ると仕切戸の前に謎の箱と共に設けられたヒーター… この様子ではまだ当分使う気ですね、二度目の東京五輪は余裕で超えそうなので次は還暦でしょうか。


ns60-運転台

運転台は計器を2段に設けたあまり見かけない構成。この位置からだと2つの圧力計が全然見えないのですが、運転席に座れば見えるんでしょうか…

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