小田急2000形|FTN trainseat.net

小田急電鉄 2000形

写真: oer2051

1988年に登場した1000形は地下鉄直通から従来車と併結しての優等運用まで幅広くこなす万能車でしたが、後継形式として1995年に登場した2000形は当時の新車記事に「従来の設計にとらわれることなく改良を加えた新車」と紹介されています。車体は1000形をベースとしたステンレス車体ながら、一部の1000形で試作した幅広扉を手直しの上本採用した点が特徴です。当初は新宿口の各駅停車の8連化、後には2600形8連の置き換え用として製造されたため9編成全てが8両編成、他車との併結を考慮しなくてよいため同社の通勤車では初めて電気指令式ブレーキを採用しました。また台車は伝統の感すらあったアルストムリンク式から決別しモノリンク式のボルスタレス台車を採用、1000形に続いてVVVFインバーターとした制御装置はIGBT素子を採用しています。

8連と言うことで運用は小田原線の新宿~本厚木間と多摩線が中心、種別も各駅停車がほとんどと地味な役回りに徹しています。


oer20-車内全景

まずは車内全景から。扉が広幅であることは思いの外気にならず、奥の色合いばかりが気になってしまう写真になってしまいました。登場時はもう少しすっきりした眺めだったようですが、袖仕切やスタンションポールの追設で幾分賑やかになっています。

oer20-車端部1oer20-車端部2

車端部は扉幅拡大による座席の短縮で奥行きが浅くなっており、側窓は戸袋窓のみと独特の構成です。優先席部はモケットや吊革のみならず化粧板や照明まで色を変更する徹底ぶりですが、通常なら側窓に貼られる優先席ステッカーは行き場を失って妻窓に貼られています。

oer20-乗務員室仕切

乗務員室仕切は1000形と同形状のようで、運転台側に窓はありません。

oer20-扉

扉は1000形に続き化粧板仕上げ、戸袋側に黄色いテープを貼っている(=戸袋への引き込みに注意を促す)のは関東では珍しいような気がします。幅は乗務員室直後を除き1600mmと通常より300mm広く違和感を覚えてしまいますが、これでも1000形ワイドドア車の2000mmに比べれば大人しい寸法です。
本項作成のタイミングで形式図を見てようやく気付いたのですが、乗務員室直後の扉は1300mmなんですね。また見に行かないと…と思いますが何時になるやら。

oer20-LED

扉上にはLED式の情報案内装置を千鳥配置で設置。初期の2編成は写真の文字表示機が無い側の扉上に路線図式の案内表示機も装備していたようですが、種別の増加に対応できず姿を消しました。

oer20-天井

天井は中央にラインデリア、両側に空調吹出口の一般的な配置。照明は近年LED式に交換したようで、前述のように優先席部には電球色を用います。吊革は全体的に多めで、扉付近には枕木方向にも設置しています。

oer20-床

床敷物は中央を柄入りのクリーム系、両側を茶系としてフットラインを形成。

oer20-窓

側窓は一段下降窓と戸袋窓を設置。戸袋窓はカーテンを省略した分濃色のガラスを使用、下降窓のカーテンは巻き上げ式で3段階での調整が可能ですがこれも増備車では省略されたようです。

oer20-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。扉を広く取った割に扉間の寸法は大きく変わっておらず、1人当たり幅440mmも1000形と同様です。スタンションポールは増備車から採用されたものですが今回取材の編成は後年追設した様子、袖仕切は1000形と同様に袖板+パイプの構成でしたが近年大型タイプに取り換えられたようです。

oer20-3人掛けoer20-3人掛け優先

車端部は3人掛け。小田急の従来車は車端部4人掛けでしたから座席を1席減らして扉の幅を確保した格好ですが、あの幅広扉でも一般的な20m級4扉車と同等の着席定員を確保できているとも言えそうです。妻面にモケットを貼る配慮は小田急の伝統として2代目4000形まで見られました。優先席はモケットを紫色として区分しています。

oer20-車椅子スペース

先頭車の車端部には車椅子スペースを設置、握り棒に非常通報装置と最低限の構成です。しかし広告枠と非常通報装置が奥の方にあるのはやっぱり慣れませんね…


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