大阪市営地下鉄70系(後期車)

写真: 7123

1990年に開催された「大阪花博」へのアクセス路線として開通したリニア式地下鉄の鶴見緑地線(京橋~鶴見緑地)は当初地下鉄他線との接続の無い孤立路線でしたが、1996年には御堂筋線と接続する心斎橋へ延伸し路線名を長堀鶴見緑地線に改称、翌1997年には更に大正へ延びたほか鶴見緑地~門真南間も開通しました。路線延伸に合わせて投入された70系の増備車(便宜上「後期車」と紹介します)は一部の仕様が変更されており、前面腰板にラインカラーの萌黄色を入れたほか、前面窓形状や側面緑帯の配置が変更されたため一目で増備車と判別できます。延伸に伴って12編成が増備され、70系全体では4連25編成の陣容となりました。

2011年から開始された初期車に対する中間更新が2016年で完了、今後は今回ご紹介する後期車の更新が進んでいくことになりそうです。


70B-車内全景2

車内全景です。「ミニ地下鉄」と言われるだけあり18m級で私鉄電車サイズの他路線から乗り換えるとその小ささが際立ちますが、2500mm程度の幅や15m級の長さについては名古屋市営地下鉄の東山線や名城線と遜色ない寸法のようで、過去に全く例のないミニサイズという訳でもありません。ただトンネル断面に合わせ上部が窄まるような車体断面はどうにも慣れませんし、狭く感じる一因になっていそうです。また高さ方向は数値上明らかに小さいようで、身長が低めの管理人はともかく身長が高い人ほど気になるかもしれません。

70B-車端部

車端部はただでさえ低い天井が冷房装置によって更に低くなっており、身長の低い管理人でも些か気になります。全線地下でも妻窓を装備、貫通扉の窓も天地寸法を大きく取っています。

70B-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。右側運転台なので出入口は左側、搭載機器の関係からか仕切戸以外の仕切窓は運転台がある側に小さいものが1つあるのみ。

70B-LED70B-LED

情報案内装置はLED式、最近の車両より大きめの文字かつ上下2段表示に対応している点が特徴です。

70B-LED270B-LED3

当時としては大き目な表示機を生かして、各駅発車後には数秒「Linear motorcar 7000」の表示、また一部駅の手前では3色LEDを最大限生かした名所イラストが表示されます。1990年代の最先端と言いましょうか、2020年代に入った今では色々な意味でこうはならないはずで、更新で数が減る中今のうちに味わっておきたい一品です。

70B-天井

天井です。風洞を車体両脇に寄せ、車体中央は照明もなるべく端に寄せて車両中央部の天井高さを稼いでいます。この構成のお陰か、冷房を搭載した車端部以外は天井の低さがそこまで気になりません。吊革は扉付近以外のみの設置、車端部は天井から直接吊っています。高さに余裕が無い上にこの天井の構造ですから吊り広告はありません。

70B-床

床は茶系の単色。初期車は中央にクリーム色のフットラインが入っていましたが、この後期車では取り止めています。

70B-扉

扉です。高さや脇の空間は他線並みとしていますが、車体断面に合わせ上部(床から1400mmより上とのこと)が内側に折れていますので混雑時に扉ギリギリに立つと圧迫感があります。扉の窓は1996年度から写真のような複層ガラスに変更されています。

70B-窓70B-カーテンレール

窓は扉間・車端とも2枚組の構成、一段下降式で開閉可能です。車庫も含めて全線地下ですからカーテンはありませんが何故かカーテンレールは設けられており、内側に窄むような独特な形状の窓枠に合わせて途中で角度が変わる造り…実際にカーテンがあったら開閉し辛そうです。万が一地上に出る場面があったとしても、今の時代なら(本形式登場時には考えられませんでしたし、関西圏で受け入れられるかは別にして)UVカットガラスによるカーテンレスと言う手が使えます。

70B-6人掛け270B-6人掛け旧

座席に入ります。扉間は他線同様の6人掛け、1人あたり幅も当時の他線車両並みとしているようですが、車体幅との兼ね合いで浅めな造りです。一方で掛け心地に配慮したコイルバネ式の座面、パイプと袖板を組み合わせた袖仕切などは新20系や66系などと同様です。モケットは登場時からオレンジ色系ですが一度張り替えられており、現在は左写真のように背摺りに着座位置を示すブロック模様が入ります。一方右写真の旧モケットは(写真ではよく分かりませんが)花博を意識した花柄入り。

70B-4人掛け270B-4人掛け優先

車端部は4人掛け、優先席のモケットは他線同様の青系です。小さい車両故か車端部の機器箱は第三軌条各線よりも大きめで、その分妻面側の座席には余裕があります。

70B-4人掛け旧

こちらは旧モケット、優先席も同じモケットを使用していたような気がします。

70B-車椅子スペース70B-2人掛け2

後期車では当初から各車に車椅子スペースを設置、握り棒と車椅子固定金具を設けています。その横の座席は2人掛け、袖仕切の枕木方向のパイプは車椅子スペースからの握り棒からそのまま伸びた格好で、袖板との余裕が少なく肘を掛けるのは厳しそう。


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最終更新:2020/11/8

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