西武20000系

写真: sb20151

西武秩父線の開業に合わせ登場した101系も製造から30年程度が経過し、それを置き換えるべく1999年に登場したのが20000系です。地下鉄直通車6000系をベースとした地上線専用車で、同系50番台に続いてアルミ車体ながら後に日立製作所が「A-train」として各社向け電車に広く展開した工法をいち早く採用した点が特徴です。車体は構体に「お面」のような先頭部構体としてボルト結合する方式を採用、前面非貫通で丸い灯具を縦に並べた従来の西武電車には無い顔立ちです。一方で屋根上に目を向けると冷房や角型ベンチレターは従来車並み、車内も含めて変わったところ・変わらないところを眺めるのも悪くないでしょう。従来車の面影が完全に消えるのは本形式の次、会社に色々あった後に登場した通勤車30000系からとなります。個人的には黄色い従来車や地下鉄直通車、それに丸みを強調した新車の間にあって地味な印象がありますが…

10連・8連各8編成が池袋線・新宿線それぞれに配属されており、10連は優等列車、8連は各駅停車を中心に運用されています。今回は1次車の様子を中心に、最後に少しだけ後期車の写真もご紹介します。


sb200-車内全景

まずは車内全景から。白を基調に青の座席モケットの落ち着いた印象は地下鉄直通車の6000系譲り、ただ冒頭にも記した通り工法を大きく変えた関係もあって各部の造りは大きく違っています。

sb200-車端部

車端部です。天地寸法の大きな窓を用いた妻扉は何気に西武初登場、この頃になるとJR・私鉄問わず標準になった感があります。従来車で一部窓下に設けていた機器箱は完全に廃され、消火器などは少し厚くなった妻面に埋め込んでいるようです。妻窓は引き続き設けていますが、前述の事情から随分奥まって設置されました。もっともその妻窓は本形式が最後、30000系からは東京メトロ10000系に始まる妻扉の両脇をガラス張りにした構成になりました。

sb200-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。仕切戸と車掌台側の窓が下方に拡大され、前面展望をしやすくなりました。なお中央に仕切戸を設けた構成も本形式が最後、30000系では6000系同様車掌台側に寄せた構成になっています。

sb200-扉

扉は6000系に続き化粧板仕上げ、窓は扉と同一面になっています。

sb200-LED

情報案内装置はLED式。

sb200-天井

天井は一般的な構成、扉付近は吊革を枕木方向にも設けています。そういえば一般的な丸い吊手も西武では本形式が最後、30000系からは卵型を好んで使っています。

sb200-床

基本的には単色の床が多い西武にあって、本形式ではフットラインを採用しました。それも単純にレール方向に一直線に伸びるのでは無く、外2列ずつだけ色の異なる細かいドット模様を組み合わせた凝ったデザインです。

sb200-窓

窓は一段下降式、カーテンは巻き上げ式で3段階の調整が可能。荷棚は従来車が一般的な網棚だったところ、金属線を格子状に組み合わせたものを用いています。鴨居部はあまり目立たない上に今一つ意図も不明ながらコルゲートの入った板を設置しています。

sb200-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。片持ち式のような構造でヒーターも座面下に吊り下げる形ではありますが、壁側には小さな箱が残っているのが特徴です。1人当たり幅は460mmと広め、座面をバケット式にした上で背摺りには着座位置プリント、更には従来車と同様3人用と4人用の背摺りと座面を互い違いに取り付けて定員着席を徹底させる姿勢を強く示しています。袖仕切はパイプ式の下方に板をはめ込んだような変わった構成、枕木方向の2本のパイプは立客を分離するため扉側に曲がっています。

sb200-3人掛けsb200-3人掛け優先

車端部は3人掛け。優先席は従来車同様緑がかった灰色…なはずですが写真の車両は相当状態が悪いようです。

sb200-車椅子スペース

車椅子スペースは車端部に設置。非常通報装置がある程度でヒーターも見当たらず、握り棒すら控えめというのは潔いというか何というか…

sb200-4人掛けsb200-車椅子スペース2

先頭車の車椅子スペースは乗務員室直後の扉間に設けられています。車椅子スペース部の握り棒と向かう先の無い袖仕切のパイプを上手く合体させた特徴的な形状。

sb200B-7人掛けsb200B-3人掛け

後期製造車では袖仕切の大型化や7人掛けの座席間スタンションポール設置など変更が行われました。

sb200-運転台

運転台は左手ワンハンドル式、撮影した編成は8連であることを強調するためか黄色い蛍光テープが目立ちます。


FTN trainseat.net>東日本エリアに戻る

inserted by FC2 system