西武30000系

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上場廃止にグループ再編と大きな節目を迎えた2000年代の西武鉄道、2007年デビューの新型通勤車30000系は「スマイルトレイン」を称し従来の殻を破る全く新たなデザインとなりました。車体は20000系に続いてアルミ製ですが車体幅を拡大したため同社通勤車では珍しい裾絞りが特徴、そして卵をイメージした白い前面は灯具やスカートの形状を合わせ笑顔を連想させるデザインとなっています。前面カラーは西武ライオンズの限定ユニフォームに採用されたこともあるので、電車は知らずともこの色合いを見たことがある方は少なくないかもしれません。

新101系や301系を置き換えるべく当初2・6・8の各編成が製造される予定でしたが、6連は製造されず後になって10連が登場しました。黄色くない通勤車が幅を利かせるようになって久しい同社ですが、黄色くない増結用編成が準備されたのは何気に初めてのこと。2016年度までに10連6編成・8連18編成・2連6編成が製造され、池袋線・新宿線それぞれで新生西武の顔として活躍しています。今回は各部仕様が変更された7次車以降の様子を中心に、一部初期車の写真も交えてご紹介します。


sb300-車内全景

まずは車内全景から。白を基調に青の座席モケットを用いた寒色系の色調は6000系や20000系などと変わりませんが、高い天井や幅広の車体、そして随所に見られる卵型は本形式ならでは。なお本項の画像は大半が新宿線1号車(平日朝ラッシュ時女性専用車)のものですが、もちろん設定時間外の撮影です。

sb300-車端部

車端部です。これまで当たり前のように設置されていた妻窓は廃止され、代わりという訳では無いでしょうが妻扉とその両脇がガラス製になりました。よく見ると扉は一段奥まった位置にあり、両脇は機器箱のようで形式図を見ると200mm程度客室側に張り出していることが分かります。
なお妻扉には衝突防止のため卵のイラストが描かれていますが、編成中数か所だけ卵から小鳥が顔を出したり小鳥が歩いたりしているものもあるそう。空いていれば小鳥を探してみるのも面白いかもしれません。

sb300-乗務員室仕切

乗務員室仕切は6000系以来となる仕切戸を片側に寄せた配置になりました。仕切戸含めて窓が3枚ある中で両側2枚は子供の前面展望に配慮し大型化しましたが、中央だけ小さいこの配置は珍しい気がします。握り棒は従来の位置に加え窓下端付近の低い位置にも用意。

sb300-扉

扉は化粧板仕上げ、戸先に黄色い線を入れて戸挟みに注意を促します。この時期の日立「A-train」を採用した車両は戸柱に握り棒(握れるとは言っていない)の機能を持たせた実に使い勝手の悪い構造でお馴染みですが、本形式ではそれを回避ししっかりした握り棒を設置しています。

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情報案内装置は液晶式。右画面は列車に関する案内、左画面は広告が流れます。当初左写真のように15インチのモニタを搭載しましたが、2013年度製造の7次車からは17インチに大型化し縦横比も変更しました。
E233系でも感じたことではありますが、僅か数年の差でしかないにも関わらずこのように並べてしまうと左の15インチモニタが随分古く見えてしまいます。装置の寿命も近づいたのか、近年は40000系並みのモニタに交換されているとの由。

sb300-天井1sb300-天井

天井は高いドーム形状が特徴、東京メトロ10000系の構造を参考にしたとの由。見事なデザインで枕木方向の吊革が些か邪魔に思えてきますが、そこは通勤電車ですから仕方がありません。ただこの形状を実現するため犠牲になったのがラインデリアで、枕木方向への設置では効果が限定的になってしまいます。吊革の握り手が卵型になった点も本形式の特徴です。
左写真は初期製造車で照明は蛍光灯であるのに対し、右写真の後期車では照明がLED式となりドーム状の天井との一体感が増しています。また左写真は少し分かり辛いですが荷棚も変更されており、パイプ製の初期車に対し後期車はガラス製になりました。

sb300-床

床は中央をグレー、両脇は黒に近い色としてフットラインを形成。従来単色の床が多かった中20000系に続いての採用ですが、凝ったデザインだった20000系に比べるとシンプルになった印象です。

sb300-窓

窓は扉間が一段下降式、カーテンは巻き上げ式で3段階の調整が可能です。荷棚や吊革の高さを低くする傾向にある一方、窓の上端が高くなったためカーテンを閉じたり窓を開けたりする動作は少しやり辛い感が。

sb300-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。近年の通勤車のトレンドを一通り取り入れつつ、僅かに弧を描いた背摺りや卵型の大型袖仕切など個性が発揮されています。青系のモケットは6000系以降の西武通勤車では標準となった感がありますが、背摺りは従来の着座位置プリントでは無く市松模様になりました。1人当たり幅は460mmで20000系と同等、同系では片持ち式と言いつつ小さな脚台が残っていましたが本形式では廃されています。

sb300-3人掛けsb300-3人掛け優先

車端部は3人掛け。優先席は灰色からオレンジ色のモケットになり、背摺りにはハートの模様がプリントされています。吊革は一般席部より優先席部の方が低く設置、このように写真を並べると一目瞭然です。

sb300-車椅子スペース

車椅子スペースは先頭車とその次の車両(編成中4か所)に設置、先に中間車の様子をご覧いただきます。20000系には無かったヒーターや固定ベルトを用意、設備を充実させています。

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先頭車の車椅子スペースは乗務員室直後の扉間に設置、高い位置に設けられた握り棒の取り回しが独特です。その脇の座席は4人掛け。

sb300-運転台

運転台はT字ワンハンドル式、同社初のグラスコックピット式でアナログ計器が廃されています。


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