JR東海・西日本 N700系(16両編成・普通席)
日本の大動脈たる東海道新幹線、新形式の投入は大きく取り上げられますが、2007年登場のN700系は特に大きな話題となりました。限界に思われていた東海道区間の所要時間を車体傾斜装置の採用でさらに短縮することに成功、山陽区間では500系と同様300km/h走行が可能、しかも乗ってびっくり加速は通勤電車並みとその高性能ぶりには目を見張ります。しかも500系とは異なり新世代の標準車ですから、これがどんどん増えたら東海道新幹線はどう変わるだろう、と期待したのももう10年近く前のこと。300系を置き換える形で2012年までにJR東海所有の0番台が80編成、JR西日本所有の3000番台が16編成製造され、定期「のぞみ」の全N700系化が達成されました。2012年度からは「N700A」1000番台・4000番台の製造に移行しましたが、既存のN700系も性能を合わせるべく改造が行われ、0番台・3000番台とも原番号+2000されています。
「N700A」タイプの増備が進んでも、本グループの数には達しそうにありません。「N700S」の量産が始まるまでは、東海道新幹線の主力として君臨することになりそうです。なお本項では普通席とその付帯設備のみを紹介します。
■普通席
まずは車内全景から。全体的には700系のイメージを踏襲しているようですが、普通車でも照明が電球色になった点は気付きやすい変更点でしょうか。青い座席モケット以外は暖色系にまとめています。
デッキ仕切です。扉の窓サイズが大きくなったほか、各種表記類も軒並み大型化されています。
情報案内装置はフルカラーLED、表示も大型化されました。色も表示も自由度が増しており、特に駅到着前は上下二段表示を可能としています。
近年は新幹線車内において以前は考えられなかったような事件が発生しています。その対策もあって、これまでデッキにのみ設置していた防犯カメラを客室にも設置する工事が行われました。
天井です。700系では両端に蛍光灯が寄っていましたが、N700系では中央にまとめて2列配置し、その間も所々スポットライトのようなライトで照らします。
床敷物は通路にブロックパターンの模様が入ったもので、色合いこそ異なれど700系と同様です。
窓は従来より小さくなっています。これは車内空間を十分に確保すべく、壁を薄くしたことによるもの。空調吹出口は700系に続き荷棚下に設置されていますが、「いかにも」という張り出しが並んでいた700系に対して形状を変更、違和感がないよう仕上げています。更に荷棚と側壁パネルの間にはスポット空調を設置、こちらは乗客が吹出角度を調整できます。
座席に入りましょう、まずは海側の3人掛け席から。700系に似た見た目ではありますが、座面は300系・700系ではただのクッションだったところ複合バネを採用、座り心地が大きく改善しました。加えて1人あたり幅がB列(3人掛けの中央席)を除き全席10mm拡大され440mmとなった点も見逃せませんが、にも関わらず車体幅は狭くなっており、その煽りを受け窓サイズが小さくなったようです。写真はちょっと電球色の照明が極端に出過ぎている感があります…
山側は2人掛け。リクライニング角度はけっこう深めではありますが、所定の状態の背摺りの厚さ分だけリクライニングしたくらいが丁度良い体勢になるような気がします。その背摺りは700系に比べ薄めで、硬さも少し気になります。座面が大幅に改善されていることを考えると、背摺りももう一歩進んで欲しかったところです。
11号車の東京方には車椅子対応設備が設けられており、その12ABは車椅子対応席とされています。基本的には2人掛け席と同等ですが、通路側肘掛も跳ね上げることが出来るほか、車椅子固定金具も設置されています。
座席背面です。700系では背摺りに窪みがあり、テーブルや網ポケットはその中に収まるような形状でしたが、本形式ではその窪みが無くなっています。要因としては背摺りの薄型化とテーブルの天板自体の大型化があるでしょうか。テーブル裏には車内案内が貼られていますが、前後1両ずつのみ案内されています。車内設備が単純化され、何両も先に行く理由が少ないからでしょうか。
普通席の窓際とデッキ寄り全席にはコンセントを設置。人気の窓側席をめぐり以前にも増して争奪戦が繰り広げられている、というのも大袈裟では無いでしょう。
仕切部のテーブルはA4サイズのパソコンに対応した大型のもの、コンセントも設置しています。
・その他設備
洗面台です。左が通常の洗面台で、奇数号車に2つ設置されています。一方右は11号車の洗面台、車椅子での利用も想定してか左右の壁が無く鏡も下方向に拡大されています。
トイレです。N700では「洋式」か「男子小用」の2種類だけとなりましたが、当然スペースに限りがあるため広かったり狭かったりします。
11号車には車椅子対応のトイレと多目的室を設置、トイレには新幹線で初めてオストメイト設備が導入されています。多目的室は車掌に申し出ることで使用可能。
扉は幅700mm程度、窓は700系の後期車と同様高めの位置です。
こちらは写真は公衆電話を設置した区画ですが、700系では完全な「電話ボックス」だったものが元に戻ってしまいました。
11号車は扉も大型、有効幅は約1000mmのようです。昔の私鉄電車の片開き扉くらいのサイズということになりますね…
デッキには防犯カメラを設置しています。前述の客室のそれとは異なり、こちらは登場時から設置されています。
自動販売機は6号車と11号車に設置されていましたが、700系に比べると設置箇所も自動販売機の大きさも縮小されており、2014年には自動販売機の営業そのものが終了してしまいました。
N700系は全席禁煙としていますが、完全禁煙とはせず1編成に4か所喫煙ルームを設置しています。少ないスペースを上手く生かした定員2~4名分のボックスで壁寄りに灰皿を設置、小さいながら窓も設けています。
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