相鉄8000系|FTN trainseat.net

相模鉄道 8000系

写真: st8704

足回りを中心に独自色の強い相鉄ですが、1990年登場の8000系は前照灯を中央下部に設けるという思い切ったスタイルで登場しました。この位置に前照灯を設けられたのは従来車と異なり10両固定編成を前提としたため、車体幅も2,930mmとかなり広く取って増加し続ける通勤客に対応しています。足回りは新7000系に続きVVVFインバーター制御を採用、他形式との併結が無いため電気指令式ブレーキを初採用しています。駆動装置は相変わらず直角カルダン、ディスクブレーキの目立つ台車と共に独自色を維持しています。

10年で13編成が製造されましたが、並行してメーカーの異なる9000系も増備された点は規模の割に珍しいような気がします。うち1編成は2004年に事故廃車されたため現在12編成があり、2007年頃から車内外・主要機器の更新工事と塗装変更が行われていますが、様々なメニューをバラバラに施工するものですから当初の形態差も相まってよく分からないことになっています。今回は1992年に製造された2次車の、車内の更新工事を行った編成の様子をご覧いただきます。


st80-車内全景(ロング)st80-車内全景(クロス)

車内全景です。左は編成中8両を占めるロングシート車、そして右側が本形式で本格採用されたボックスシートを設けた5・8号車です。4扉・ボックスシート車と言うと近鉄2600系などが先輩格ですが、ロングシートを組み合わせたこの配置はJR東日本で大々的に採用されるよりも前に登場したものです。更新工事で変わった部分はあるものの、白基調の明るい車内が特徴です。

st80-車端部2st80-車端部1

車端部です。左写真のように貫通扉無しが標準ですが、所々貫通扉を設けています。妻窓は随分奥まった位置にあり、その奥行を生かして右写真では窪みを設け消火器を収めています。

st80-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。正面扉を非常口として車掌台側に寄せたため、それに対応する形で仕切戸も車掌台側に移りました。窓と仕切戸の間には鏡を設置、東海地方出身の管理人は名鉄や名古屋の地下鉄で当たり前のようにありましたから珍しさを感じませんが、言われてみれば他は相鉄くらいしか思い浮かびません。
なお中央上部の化粧板が妙にビス止めされていますが、どうやらこれは(後述しますが)古い情報案内装置の跡の模様、現在は上にWi-Fi機器を設けています。

st80-扉(ロング)st80-扉(クロス)

従来無塗装だった扉に化粧板を張ったのも本形式の特徴でしたが、更新工事で順次扉を交換しているようです。左がロングシート車、右がボックスシート設置車で、扉の横にあるのは両方ともロングシートではありますが後者はボックスシートの寸法を稼ぐため座席を扉に寄せています。

st80-LED

本形式は製造時から情報案内装置を設けていましたが、後期車を除いて妻部上方に3段表示と大きなものを設置していました。装置の劣化が著しく更新工事を前に撤去される車両もあったそうですが、更新工事にあたっては後期車と同様扉上に千鳥配置に変更されました。

st80-天井

天井です。中央にラインデリア、両側に空調吹き出し口、照明はカバー無しの蛍光灯ですが近年はLED化が進行しているようです。吊革が多いのも相鉄の特徴、更新工事で三角形に交換されたようです。

st80-床

床は更新前と同様の薄茶色、トラップドアや台車ピンが目立ちます。

st80-窓

窓は扉間2枚・車端1枚で油圧式のパワーウィンドウを設置、関西圏の阪急(こちらは空気式)と共に他ではあまり見られない装備です。カーテンは巻き上げ式で4段階の調節が可能、ご覧の通りボックスシートだと中央に柱が来る格好になってしまいます。しかしこうやって見てみると、とかく取り上げられる足回りに限らず独自の装備や仕様が多いことに気付きます。

さて窓枠の上部をよくご覧いただきますと、何と座席番号が振ってあることに気付きます。流石にボックスシート装備車だけですが、特に座席指定制列車がある訳でも団体用途の利用がある訳でも無く…

st80-7人掛け

座席を見ていきます、まずは編成中の大半を占めるロングシート車の扉間に設けられた7人掛けから。脚台の上に載っているものは更新工事で一通り交換されたようで、座席はバケットシートに、袖仕切りは大型のものになったほか、湾曲したスタンションポールも設けられ現代風の誂えです。1人当たり幅は製造時から比較的余裕のある450mm、袖仕切の位置が従来と変わっていないので恐らく現在も同等の寸法かと思います。

st80-3人掛けst80-3人掛け優先

車端部は全車とも3人掛けロングシート。優先席は青系のモケットを使用、更新工事で座席間にもスタンションポールを設置したほか大型袖仕切も通常とは色の異なるものを使用しています。妻側は車端部の項でも触れたように妻窓が随分奥まった位置にあり、肘を掛けようとすると不自然な体勢になりそうですが物を置くことが出来そうな奥行があります。

st80-車椅子スペース

車椅子スペースは増備途上で設置を開始、前期車は更新工事に合わせて設置しています。妻窓より下の部分に機器を設けたのかかなり出っ張っており、非常通報装置も車椅子利用者を想定してか妻面側の低い位置に設けています。更に消火器は奥まった位置にある妻窓の縁に設置しています。

st80-ボックスシート

ボックスシートは5号車・8号車の扉間に設けています。無塗装のフレームが印象的な座席は更新工事でもモケットを張り替えた程度のようで、当初の内装に合わせた色合いとしたはずの肘掛はそのまま使っている割に現在のモケットにも合っています。なお頭部は現在レザーを張っていますが製造時はモケットで、汚れが目立つことから交換されたようです。こちらも今の色合いで何ら違和感がありませんが、更新前はこのレザーにオレンジ色のモケットという何とも言えない組み合わせでした。

st80-2人掛け

ボックスシートの両側には2人掛けロングシート。ボックスシート側は当たり前と言えばそれまでですが肩逃しの類いは無く、更に扉側も袖仕切が大型化したことで窮屈そうな印象が増してしまいました。従来の袖仕切が窮屈感を抑えつつ立客との分離を上手く考えた作りだっただけに…


st80-運転台

運転台は製造時からモニタ装置を設けていたのが特徴でしたが、更新工事で交換し大型化したようです。製造時期の割にマスコン・ブレーキとも従来車に近いものを用いています。

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