東武10000系

写真: tb11005

20年に亘り増備された8000系は高い汎用性もあって700両を越える大所帯となりましたが、車体・足回りとも技術の進歩が顕著なことから1983年に新たな通勤車10000系を投入しました。2年前に登場した有楽町線直通車9000系と同様に車体はマルーン帯の入ったステンレス製、コルゲートが目立つのは当時のメーカー事情もあってのこと。前面は貫通構造としており、8000系と同様に複数編成併結や分割併合に対応しています。制御装置は9000系のAFEチョッパ式が高価なため、一般的な界磁チョッパ制御を採用し省エネとコストを両立。5桁の車番は百位に編成両数の意味を持たせており、写真の「0」は後年登場の10両固定編成を示します。

1987年までに8連6編成・6連9編成・2連4編成が製造され、以後の増備は軽量ステンレス車体の10030系に移行しました。写真の10連は8連4編成に中間車を増結したもので、既に10030系が増備されていた時期ながらコルゲート車体の本形式に外観を合わせています。2008年からはリニューアル工事が開始され、既に10連以外は全て施工済みなのですが10連にはその気配が無く… 今回はそんな10連車の様子をご覧いただきます。


tb1000-車内全景

まずは車内全景から。白い化粧板はともかく随分と緑豊かな印象で、その他設備面などを含めて全体的に古さを否めない感はあります。

tb1000-車端部

車端部です。妻窓付きで8000系とは異なり貫通路は狭幅、貫通扉を設けた個所もありますが基本的には開け放たれています。

tb1000-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。運転台側に窓が無いのは東武の標準のような感がありますが本形式が初との由、配電盤があるそうです。仕切戸上には大きな機器箱があり、車番プレートと共にお馴染み特徴的な文言の「乗務員室立入禁止」ステッカーを貼っています。

tb1000-扉

扉は無塗装、写真は中央寄り扉ですので鴨居部に締切表示ランプを設けています。

tb1000-天井

天井は照明の内側、レール方向に貫く2本の冷風吹出グリルが特徴。

tb1000-床

床は濃緑の単色。

tb1000-窓

窓は9000系を踏襲した一段下降式、カーテンは巻き上げ式で4段階の調整が可能。

tb1000-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。1人当たり幅は425mm程度と8000系並み、定員着席を促すため背摺りには着座位置を示すプリントをしています。なお製造時のモケットは8000系同様の金茶色だったとの由、現在とは車内の印象が随分違いそうです。袖仕切はコの字のパイプの上部から荷棚に向かって握り棒が伸びるあまり見ない形状。

tb1000-4人掛けtb1000-4人掛け優先

車端部は4人掛け、優先席は着座区分の無い灰色がかった青色のモケットを使用します。形式図によると1人当たり幅は扉間より明らかに広いようですが、妻面に余裕が無いこともあってか狭そうな印象を受けてしまいます。8000系と同じ座席配置はこの10000系までで、軽量ステンレス車体の10030系からは扉位置の調整などを行い座席幅の拡大と車端部座席の削減が行われています。


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