東武50090系|FTN trainseat.net

東武50090系

写真: tb51094

東武東上線というと伊勢崎線・日光線系とは異なり通勤通学輸送一辺倒のイメージがありますが、座って帰りたいニーズに応えるべく2008年から夕方に有料定員制列車「TJライナー」を設定しました。東上線の有料列車は「フライング東上」以来、それ以降優等車らしい車両は東上線になく、作ったとしても夕方~夜間以外は遊んでしまう…ということで目を付けたのはまさかのクロス・ロング可変座席でした。これであれば普段はロングシートの通勤電車、夜はクロスシートの有料列車という使い方が可能です。果たして登場した50090系は同線の50000系をベースとしつつ座席を変更、外観では腰部に青い帯を入れ区別しています。

当初4編成を製造し「TJライナー」は平日6本・休日4本が設定されましたが、好評のため2011年には2編成増備し「TJライナー」も増発。2016年からは平日ダイヤのみ池袋行きも新規設定されたほか、2019年には更なる増発で夕方以降30分ヘッド設定されただけでなく、本形式をクロスシートで用いる料金不要の優等列車「川越特急」が登場、観光客輸送も担います。朝から日中にかけてはロングシートで快速以下の各種別で運用されます。


tb50090-車内全景(ロング)tb50090-車内全景(クロス)

まずは車内全景から、ロングシート時・クロスシート時ともにご覧いただきます。「白い化粧板に青系のモケット」の組み合わせは50000系列のイメージを踏襲しており、特にロングシート時はその意を強くします。とはいえクロスシート時は高い背摺りが一層目立ち、4扉・ロングシートばかりの東上線にあって独自の空間を作り出します。

tb50090-車端部1tb50090-車端部2

車端部です。扉は片側のみの設置、50000系列の標準ではありますが30000系では両側に設けていたはずでどうも一定しません。消火器は大きめの座席に合わせて蓋の形状が変更されています。

tb50090-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。他の50000系列と同様運転台直後に窓はなく、仕切戸を車掌側に寄せた構成です。異なる点といえば車端部もそうですが情報案内装置を設けた点、こちらは装置周辺が張り出しており当初からの装備ではあるものの後付けのような見た目になってしまっています。

tb50090-床

床は灰色系、他の50000系列ではフットラインがあるなか本形式はそれがありません。

tb50090-天井

天井です。中央にラインデリア、両脇に空調吹き出し口・照明と並びます。枕木方向の吊革が多いのは流石通勤路線といった印象で、ここだけ見ると凡そライナー用の車両には見えません。

tb50090-扉tb50090-扉2

扉は片側4か所で化粧板仕上げ、仕切りが扉のすぐ横まで迫っています。扉横のスペースはほぼ皆無なうえ、日立A-train特有の「握れない扉横手すり」が控えています。

tb50090-LEDtb50090-LED2

情報案内装置は扉上(千鳥配置)に加えて妻部貫通路扉上に設置。妻部のものはクロスシート時に見えるよう配慮したもので、50000系列でも本形式独自の装備となります。

tb50090-窓tb50090-窓2

50000系列の窓は当初すべて固定式で登場していましたが、停電時の換気に問題があるということで途中から扉間を中央で二分する窓割に変更しています。ロングシートであれば何ら問題ないのですが、クロスシート時には座席(特に中央列)と窓の関係が微妙になってしまいます。もっともライナーの運転時間帯は暗い夜が中心、あまり気にすることもないでしょうか。荷棚は他の50000系列と同様のパイプ式ですが高さまで同一のようで、下面にはクッションを取り付けています。

tb50090-カーテン操作方法

カーテンはフリーストップ式ながら新幹線などで連想するものとは異なり、写真のの注意書きの通り独特の操作が必要とします。カーテンを開ける際自動で巻き上がってくれる点は他にない利点ですが、「とめたい位置で手を離す」のに若干コツを要するようで戸惑う乗客を見かけたこともあります。窓高さより荷棚の方が低いのでカーテンを引き出すのは少し手間がかかるうえ、これは致し方ないながらロングシート時は高い背摺りがカーテンを下げるのに邪魔になります…

tb50090-LCクロスtb50090-LCロング

座席を見ていきましょう、まずは扉間の可変座席です。基本的には近鉄5800系からの血筋になり、背摺り・座面とも2席一体型です。1人当たり幅は480mm程度、シートピッチ1000mmと寸法だけ見れば決して悪くありませんが、薄く硬めの造りは近鉄のそれと大きく変わりません。今回クロスシートモードの写真は「川越特急」の折り返しとなる普通で撮影したのですが、座って早々「何やこれ…」と思ってしまったのは内緒。座って帰るための座席料金だと分かってはいますが、それでもこの座席ではなあ…と思ってしまいます。

ロングシートモード時は通常ロングシート車が扉間7人掛けのところ6人掛けになる上、2席毎に肘掛による仕切もありますからゆったり感と同時に定員着席にも貢献してくれそうです。ただ座ったり立ったりするだけで音がしたりガタついたりするのはちょっと…

tb50090-LC背面

座席背面は特に何もありません。枕カバー後面はロゴとともに脚台内のヒーターの注意を促すプリントが入っています。脚台には近鉄車同様足掛けと思われる枕木方向のパイプが設置されていますが、どのような姿勢であれば適切に使用できるのかが今一つ分かりません。

tb50090-3人掛けtb50090-3人掛け優先

車端部は3人掛けロングシート。座席形状は可変座席に極力合わせており、高い背摺りに個別の座面、各席間に肘掛を挟むなど豪華仕様です。そしてこの手の車両共通の感想にはなりますが、可変座席特有の機構面の問題が一切ない分こちらの方が座り心地が良かったりします。もっとも車端部ですので相応に揺れる訳ですが… なお緑系モケットは優先席を示しています。

tb50090-3人掛け袖仕切

扉側から見ると平板状の袖仕切ですが、内側には一応窪みがあります。妻側もそうですがもう少し余裕を持たせることはできなかったのかなあ、と思わないではありません。

tb50090-車椅子スペース

車椅子スペースは2・9号車に設けられており、非常通報装置と握り棒を装備。握り棒は腰部だけでなく窓上端くらいの高さにもある辺りは流石混雑路線といった印象。


trainseat.net>東日本各社局に戻る

inserted by FC2 system