東武8000系(館林地区ワンマン車)

写真: tb8563

1963年に登場した8000系は20年に亘って増備された結果712両と私鉄最大の勢力を誇り、早くも1986年には初期車の修繕工事が始まっています。ただこの修繕工事も同様に20年近く掛かっており、その間仕様も変わっているため豊富なバリエーションを生むこととなりました。今回は2両編成の内、重厚なミンデンドイツ台車を履く一方新造時から冷房を搭載した1973年製造・2002年修繕工事実施の8563Fの2021年初春の様子をご覧頂きます。
修繕工事では前面形状の変更のみならず前照灯をHID式に、行先表示をLED式に変更し車内もバリアフリー対応が行われています。併せてワンマン運転対応工事を施工しており、外観では貫通扉のワイパー設置や幕板部の車外スピーカー設置などが目立ちます。前面裾部の左右に見える四角い箱は後年設置のホーム検知装置で、これもワンマン対応車特有の装備です。

当編成を含め館林を拠点に運用される2両編成の8000系は2003年のダイヤ改正から小泉線でのワンマン運転を開始、その後桐生線や佐野線にも活躍の場を広げています。2020年から投入された10000系ワンマン車による置換えか、はたまた運用減の影響かは不明ながら、当編成は2022年に廃車になったとの由。残る編成も車齢が45年近くに達しており、今後置き換えが進むでしょうか。


tb800D-車内全景

まずは車内全景から。外観、特に前面を一新した修繕工事ですが、車内を一変するようなものでは無く概ね従来のイメージを踏襲しています。よく手入れされ丁寧に使っているようですが、流石に製造後45年以上経過しており経年を感じないではありませんでした。

tb800D-車端部tb800D-車端部2

車端部です。貫通路は広幅、貫通扉はありません。浅草方先頭車(右写真)には車椅子スペースを設置しています。

tb800D-乗務員室仕切

乗務員室仕切は塗装仕上げの仕切戸が特徴、数少なくなった所謂「前期車」の特徴です。運転台直後に窓は無く、走行区間から浅草方面までの接続時刻表を掲出しています。左右ともわざわざ1人分の吊革を用意しているのは律義と言うか何というか、どうやら元々2人分あったところ仕切位置の後退で現在の姿になったそうですが…

tb800D-扉

扉は乗務員室仕切戸と同様に塗装仕上げとしています。ワンマン対応車は多くが扉上にLED式の情報案内装置を設置していますが、早期に修繕工事を実施した当編成にはありません。

tb800D-扉締切表示灯

一部扉上には冬季の扉締切を示すランプが設置されています。

tb800D-天井

天井です。当編成は2両編成初の新製冷房車で、従来あった扇風機を廃しこの時期の通勤電車にしては珍しく張り出しの無い平天井としています。照明は修繕工事の際に増設しており、吊革は扉付近を避けて設置しています。

tb800D-床

床は茶系の単色。

tb800D-窓

窓は扉間2枚・車端1枚で上段下降・下段固定式、カーテンは巻き上げ式で4段階で調節可能です。

tb800D-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。基本的には製造時からの座席をそのまま踏襲していますが、修繕工事に際して床下暖房器を変更したそうで、それに関係して蹴込板に角度を付けたようです。1人あたり幅425mmは変わらず、緑色のモケットは背摺りに着座位置をプリントして定員着席を促します。

tb800D-3人掛け優先

車端部は4人掛け、全て優先席とされており着座位置プリントの無い青灰系のモケットを張っています。

tb800D-車椅子スペース

修繕工事では車椅子スペースも追加されました。設備は10000系50番台と同様、手摺と非常通報装置程度と必要最小限です。


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