東京メトロ10000系

写真: TM10116

2004年に営団が民営化され東京メトロになりましたが、民営化後初の新形式となったのは2008年に開業する副都心線向け、また老朽化した有楽町線7000系の一部を置き換えるべく2006年に登場した10000系でした。東京メトロ発足後に製造された05系13次車がベースになってはいますが、外国人デザイナーが関与したこともあってか大きく丸みを帯びた前面形状が印象的。どことなく福岡市交七隈線の電車に似ているのもデザイナーによるところが大きそうです。副都心線のラインカラーである茶色は前面や腰板の他幕板上部にも入れ、これに加え有楽町線のラインカラーである金色、それに白を細く入れています。足回りでは久々にボルスタ付き台車を履いている点が特徴でしょうか、日比谷線の脱線事故で見直されたようです。

2010年までに10連36編成が製造され、有楽町線・副都心線はもちろんのこと西武池袋線、東武東上線、2013年からは東急東横線・みなとみらい線と広く直通運転に充当されています。なお10連が基本ではありますが、7000系8連が不足の際には一部の中間車を脱車し8連で運用することもあるようです。今回は一部内装が変更された後期製造車の写真を中心に、必要に応じそれ以前の車両との差異にも触れていきます。


TM10000-車内全景

まずは車内全景です。東京メトロ初の新形式ということもあって力を入れたのでしょうか、4扉・ロングシートの一般的な通勤車ではありますが、各部パーツや色遣いもあって特に登場時は随分斬新な車内に見えたものです。

TM10000-車端部

車端部です。貫通扉に加え両脇もガラス張りとしており、かつての私鉄電車の広幅貫通路が近年必須の貫通扉を付けて帰ってきたような格好です。その代償なのか従来営団の車両にあった妻窓はなく、木目調の化粧板を用いた妻壁は従来より厚くなっています。この構成は割と人気だったのか他社でも普及し、現在では広く見ることが出来るようになりました。

TM10000-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。全体的に従来車と大きく印象が変わっている本形式の車内にあって、この仕切は従来車とほぼ同様の見た目。車端部と同様木目調仕上げになるとまた印象が随分違ったのかなあ、と思ったり思わなかったり。貫通扉が中央になった本形式ですが、乗務員室内の機器配置の関係もあってか仕切戸は右にオフセットされています。

TM10000-床

床敷物は座席に合わせた黄土色、斬新な印象はこの思い切った色遣いによるところも大きいかもしれません。

TM10000-天井

天井は中央天井を高く取った特徴的な構造で、ラインデリアは枕木方向に、照明は天井高さが変わる位置に取り付けています。灯具は当初窪みに収めて間接照明のような構造としていましたが、通勤車では余りに照度不足だったらしく現在の構造に変更したとの由。また個人的にはこの枕木方向に設置したラインデリアというのは微妙な印象で、風が広く行き渡っていないような気がします。

TM10000-扉

扉は化粧板仕上げで従来車並み。両脇の手すりは当初日立「A-train」標準の枠と一体になった掴めないものでしたが、余程評判が悪かったらしく増備途上で変更されています。

TM10000-LCD

情報案内装置は東京メトロ初の液晶式、広告用画面も併設し各扉上に2画面設置します。縦横比は4:3ですが以後の主流は16:9で、今となっては古く見えてしまう感すらあります。

TM10000-窓

窓は扉間2枚・車端1枚で扉間は全て開閉可能です。カーテンは巻き上げ式で2段階の調整が可能、東京メトロの車両は近年でもカーテンをしっかり設置しています。強化ガラスを使用した荷棚も(類似の前例が無いことも無いのですが)目新しく映ります。

TM10000-窓・荷物棚

ただこの形式、いやそれに限らず近年の日立「A-train」やそれに相当する構造の車両共通で、荷棚位置が窓上端や巻き上げたカーテンより下にあり引き出し辛いという欠点があります。これは「こういうもの」なのか中々変わりそうにないですね…

TM10000-7人掛けTM10000-7人掛け2

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けです。黄土色というか稲穂の色というか、あまり見かけない色のモケットは対燃焼性向上のためアラミド繊維を織り込んでいます。1人当たり幅は05系13次車と同様の460mm。何でも増備途上で座り心地に難があるとして座席形状を変更、更には製造済み編成に対しても背摺りの交換を行ったとのことで、確かに新車記事の写真などと見比べると新造時のそれはストンと垂直に下りる形状で現在とは異なっています。また袖仕切は本形式特有のアルミ製無塗装ですが、冷たさを感じないでもありません。スタンションポールが荷棚を超え天井まで伸びている点も特徴です。

なお営団で一時期採用されていた不均等な割付け(扉間も6人掛けだったり7人掛けだったりする)は副都心線でのホームドア導入もあって取り止められており、有楽町線の07系はその影響で東西線に転属せざるを得なくなりました。本形式の内数編成はその補填分も含まれているはずで…

TM10000-3人掛けTM10000-3人掛け優先

車端部は3人掛け、妻側は肩を逃せる余裕がないため窮屈そうに見えます。優先席は青系のモケットを使用、スタンションポールも黄色くして区別します。座面は詰め物こそ詰まっているようですが平板な印象は拭えず、背摺り形状も特段良い印象という訳ではありません。

TM10000-車椅子スペース

車椅子スペースは2号車・9号車に設置、非常通報装置と握り棒を設けています。


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