東京メトロ16000系(1次車)

写真: TM16104

東京メトロ千代田線は1971年に量産車が登場し20年近く増備が続いた「21世紀の電車」6000系が圧倒的主力でしたが、それほど斬新な電車で更新を施したにしても製造後40年が経過すると流石に経年は隠せなくなり、置き換え用として2010年に登場したのが16000系です。2006年登場の有楽町線・副都心線用10000系に続き前面は丸く貫通扉を中央に設けた構成が特徴、ラインカラーの緑を強調したデザインはF1デザイナーとして国際的に著名な奥山清行氏の手によるもの。秋田新幹線E6系と並び同氏がデザインした鉄道車両としては比較的初期の作品となりましょうか。
主要機器では高効率の永久磁石同期電動機(PMSM)を国内初の本格採用、主電動機出力を高めると共に1C1M制御とした点は結果的にたった1編成の存在に終わった同線06系と同様です。回生制動の性能向上なども相俟って、従来車に比べ電力消費の少ない電車となりました。

2010年秋にデビューした本形式は37編成の陣容を誇り、6000系チョッパ車を置き換えた1~3次車と残る従来車を全て置き換えた4次車に大別されますが、2011年度製造の2次車で早くも前面レイアウトの変更が行われたのは驚いたものです。今回は5編成しかない中央貫通構造の1次車を引き当てましたのでその様子をご紹介しますが、実際には2・3次車も前面構造以外はほぼ共通と聞いています。


TM16A-車内全景

まずは車内全景から。東西線15000系が05系のモデルチェンジ車的性格だっただけに、配色や各パーツから有楽町線・副都心線10000系に通じつつまた異なる斬新さを感じます。しかし10000系・15000系ともラインカラーを基調とした配色だったところ、本形式では千代田線のラインカラーである緑ではなく青系としたのは何故でしょう。

TM16A-車端部

車端部です。10000系に続き貫通扉に加え両脇もガラス張りとしており、6000系の広幅キノコ型貫通路のDNAが引き継がれているようないないような… 少し厚めの妻壁は白を基調にしつつ、通路寄りには縦に紺色の帯を入れアクセントとしています。

TM16A-乗務員室仕切

乗務員室仕切ですが、ここは驚くほど変化がありません。10000系に続いて前面貫通扉は中央にありますが、乗務員室内配置の関係か仕切戸は若干右にオフセット気味。

TM16A-床

床敷物は柄の入った紺色。写真では随分明るく映っていますが、実際の印象は他写真のように随分と濃い印象です。

TM16A-天井

天井は10000系の中央天井を高く取りラインデリアを枕木方向に配する構造を止め、ラインデリアをレール方向に配する一般的な構成としました。ただ枕木方向に入った細かいフィンは10000系の高天井部にも通ずるデザインです。

TM16A-扉

扉は化粧板仕上げで従来車並み、床の滑り止めと黄色いラインは最小限のようです。注意を促すステッカーは戸先側か戸袋側か分かれる傾向にあり前者は関東、後者は関西に多い印象ですが、東京メトロは後者なのですね。

TM16A-LCD

情報案内装置は液晶式、広告用画面も併設し各扉上に2画面設置します。縦横比は東西線15000系に続いて16:9としています。

TM16A-窓

窓は扉間2枚・車端1枚で扉間は全て開閉可能です。カーテンは2段階に調整可能(見辛いですが手前が半閉です)、荷棚は10000系に続きガラス製ですが継目が少なくなりました。

TM16A-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けです。紺色のモケットは同社の新車には珍しい目立つ柄入り、座席間のスタンションポールは10000系の1本から2本に増やしています。そして最大の特徴はガラスを採用した袖仕切でしょう、今では全国各地の新型車両に続々採用されていますが本形式がほぼ初の例だったかと思います。ガラス面には模様を施し下部は半透明状、車体側は妻面と同様の紺色としており目立ちます。

TM16A-3人掛けTM16A-3人掛け優先

車端部は3人掛け。1人当たり幅は扉間も含め460mmですが、妻側のみならずガラスを用いた大型袖仕切共々肩を逃せる余裕がないため窮屈そうに見えます。もっとも置き換え対象の6000系も壁のようなものでしたから千代田線においては大して気にならないでしょうか。消火器は厚くなった妻面に埋め込み、蓋がレール方向を向いています。優先席は明るい青のモケットを使用、スタンションポールは一番下まで黄色くしておりよく目立ちます。

掛け心地としては座面の薄さに加え腿裏の圧迫感もあり、あまり良い印象ではありませんでした。外観写真のようなロングラン列車にも充当される本形式、実際に乗り通す乗客はごく限られるにしても座席は短距離乗車前提と言った印象です。

TM16A-車椅子スペース

車椅子スペースは2号車・9号車に設置、非常通報装置と握り棒を設けています。


FTN trainseat.net>関東私鉄一覧に戻る

最終更新:2023/12/9

inserted by FC2 system