東京メトロ7000系

写真: TM7101

1974年の営団有楽町線開業に際し登場したのが7000系です。1971年に量産が開始された千代田線6000系をベースにしつつ、外観では黄色い帯色と将来の私鉄直通に備えて前面貫通扉上に列車種別表示窓を設けたほか、主要機器には制御装置に6000系の電機子チョッパ制御の進化系となるAVFチョッパ制御を採用しました。1983年の3次車からは半蔵門線8000系の仕様を一部反映、1989年までに10連34編成が製造。製造後20年が経過した1994年からは修繕工事を開始、1996年からは制御装置のVVVFインバーター化も行われています。
転機が訪れたのは2008年の副都心線開業で、ワンマン運転やATO関連機器の設置に伴い帯色に副都心線の茶色を追加。更に直通先となる東急東横線に合わせて過半の編成が副都心線専用とされ8連になりました。改造対象から漏れた13編成は廃車されています。

副都心線開業後は東武東上線・西武池袋線~有楽町線・副都心線~東急東横線~横浜高速鉄道の広大なネットワークで運用されましたが、前述の通り8連は有楽町線に入らず東武東上線も志木までの入線とされました。初期車製造から45年以上が経過した2021年からは17000系による置き換えが開始され、2022年春までに全車が運用を離脱しました。今回は1・2次車の様子を軸に、所々後期製造車の様子もご覧いただきます。


TM7000A-車内全景TM7000B-車内全景

まずは車内全景です。やはり荷棚まで伸びる袖仕切の存在感は大きく、独特な車内空間を作り上げるのに一役買っています。左は初期製造車、右は後期製造車で、製造時期に15年の差がありますが構成や配色が大きく異なるわけではありません。

TM7000A-車端部3TM7000A-車端部2TM7000A-車端部4TM7000A-車端部1

車端部です。元々は一部を除き貫通扉が無く、数少ない設置個所は左上写真のように貫通扉と妻窓を設けていました。残り3枚の写真はキノコ型で貫通扉の無かった広幅貫通路を縮小したもので、側窓の高さに消火器があるのはその名残と言えましょう。設置した貫通扉は改造時期により2種類、窓の天地寸法が従来並みの車両と大きくなった車両があります。なおこのとき貫通扉を設置したのは片側だけ、もう片側は右下写真のように扉はありません。

TM7000B-車端部

3次車以降は全ての車端部が狭幅化され貫通扉を設置、妻窓も設けた一般的な構成になりました。

TM7000A-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。多くの機器を搭載する関係から壁が多く、窓は仕切戸と運転台直後の小さいもののみ。

TM7000A-床TM7000B-床

床敷物です。初期車は中央にクリーム色で柄の入ったフットラインが入る一方、後期車は灰色の単色とされています。

TM7000A-天井TM7000B-天井

天井です。初期製造車は非冷房で登場しており、冷房化に際しては風洞を左右に設け扇風機は存置しました。一方後期製造車はラインデリアを設けた一般的な構成です。

TM7000A-扉TM7000B-扉

扉は化粧板仕上げ、この時期の営団車は高い位置に設けた小窓が特徴でしたが後期更新車では通常の大窓化されています。製造時期の相違で3次車以降は座席幅が拡大されており、立席スペースはその分だけ減少しています。また扉脇の手摺も天地寸法が異なりますが、これは製造時の相違なのか更新での交換なのか不明です。

TM7000A-LED

情報案内装置はLED式で千鳥配置、文字は小さいながら2段表示として情報量は十分です。

TM7000A-窓TM7000B-窓

窓です。左写真の1・2次車は当初上段下降・下段上昇の2段窓でしたが、修繕工事に伴い1枚の下降窓に改造されました。もっとも窓の天地寸法は小さいままで、どちらかと言うと外観で目立つ相違となっていたように思います。一方右写真の3次車以降は当初から一段下降窓で、天地寸法も拡大されています。

TM7000A-7人掛けTM7000B-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けです。左は1・2次車で、1人当たり幅が420mmを切っている上に座面が中央で分割されていることもあり6人掛けとして使われていそうな様子。3次車以降は1人当たり幅を430mm確保し座布団の分割位置も変更しています。モケットは当初茶色や赤色で、21世紀に入ってから現在のピンク系になりましたが、後期車は背摺りに着座位置プリントを行って定員着席を促しています。前期車にプリントが無いのは単に施工時期の差かと思っていましたが、もしかすると座布団分割位置や寸法の不足など7人で座るよう促せない要素があると判っていたためでしょうか…

袖仕切は化粧板部分を荷棚まで伸ばした営団独自のスタイルですが、初期車が脚台まで覆っているのに対し後期車では脚台が露出するよう短縮されています。

TM7000A-3人掛けTM7000A-3人掛け優先

車端部は3人掛け、優先席は青いモケットを使用しています。掛け心地は昔ながらのバネの効いた印象で、副都心線に直通する車両では少数派となっていました。管理人は短区間の乗車しか経験がありませんが、「空いていれば」ある程度快適なのかなと思います。

TM7000A-車椅子スペース

車椅子スペースは両先頭車の次の車両(編成中2か所)に設置。非常通報装置と握り棒を設けたほか、側壁には窓下端の高さまである機器箱があります。


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