とさでん交通1000形
乗客増加で車両不足になった土佐電気軌道、1981年に久々の自社発注車として登場したのが今回ご紹介する1000形です。車体は前年登場の「軽快電車」の影響を受けており、特に前面形状は長崎電軌2000形の影響が強そう。また同社初の新製冷房車であることも見逃せません。一方で台車が怪しいと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、近代的な車体に対し足回りは西鉄北方線331形(特徴的な前面形状の連接車ですね)からの流用品、走り始めれば従来車同様の吊り掛けサウンドが響きます。
2両のみの製造で後継形式も長らくなかったため、同社の中では未だに新しい部類に入ってしまうのが何とも… 後免や伊野の方に行くことはあまり無いようで、自分は桟橋線で運用される姿しか見たことがありません。
まずは車内全景から。圧倒的に古い車両が多数の同社にあって、昭和50年代の車両で大きな改装もしていないながら随分近代的に感じてしまうマジック… 化粧板が明るめなことも影響しているかもしれません。
車端部です。仕切りは中央の「壁」のみ、座席のある向かって右側は開けており大きな前面窓も相まって前面展望は良好。情報案内装置は他形式同様のLED式、運賃表も兼ねています。
扉はいずれも引戸。左は入口扉で幅は1080mmと広め、右は出口扉で幅は800mm。出口は運賃箱の位置関係もあってか幾分狭めに見えます。
天井は新造時から冷房を搭載してすっきりした構成なのが特徴、照明は従来車より多めに設けているようで明るく感じます。
床はクリーム色単色、その中にあって黒い金属製の蓋が目立ちます。これは機器点検蓋、近代的な車内にあってここだけ前時代的です。
窓は2段式、下段を上昇させ開くことが出来ます。クロスシートも設けていますが窓割は特にそれを意識したものではありません。従来車にあった荷棚は廃止されていますので注意が必要です。
座席は2種類、まずは中扉より後ろ寄りに設けられたロングシートから。1人当たり幅は430mmの8人掛けで、優先席は背摺りにカバーを設けて区別します。袖仕切りはパイプ式ですが人が触れやすい箇所は樹脂のカバーで覆って冷たさを軽減。従来車に比べ座面奥行を深く取っているようですが、短距離運用ばかりですから有難みを実感する機会は少ないかも。
扉間には1人掛けクロスシートを4脚ずつ設置。座席自体のサイズは路線バス並みで小さめな一方、シートピッチは800mmでバスに比べると余裕があります。