富山地方鉄道10020形|FTN trainseat.net

富山地方鉄道10020形

写真: 190915-10025_6

地鉄では14770形・14780系と高性能車を投入しましたが、続いて1961年には10020形を投入しました。非貫通の湘南スタイルは14780形譲りですがMc-T-M'cの3両固定編成で2両の電動車がユニットを組む構成は地鉄初、車内も従来の高性能車が固定クロスシートだったのに対し転換クロスシートとしています。どういう訳か1962年には1C4Mの14720形も登場しましたが、1964年の増備は再び本形式となり3連3編成の陣容となりました。もっとも3両固定という単位は地鉄には大きすぎたらしく、1969年には14720形も巻き込んで2両編成化がなされ余剰車は単独Tcという形に改められています。
全編成とも1992年に冷房化と台車交換を実施しましたが、その他は大きな改造を受けないまま推移しました。他形式で行われたワンマン化が行われなかったため運用が次第に限定され、2005年・2006年に第1・第2編成が相次いで廃車。第3編成も朝夕ラッシュ時や多客期のみの運用に留まりながら残留。しかし製造から55年を迎えた2019年、いよいよ置き換えが決定し惜しまれつつ引退しました。今回は引退直前の第3編成の様子をご覧いただきます。


TRR1002-車内全景

車内全景です。2扉・転換クロスシートの如何にも「日車ロマンスカー」な装いですが、それらの中では後発組とは言え大きく手を加えられることもなく令和の時代まで生き延びたのは驚くほかありません。もちろん長く使われている分、現在では必須の装備も相応に随所に見受けられます。

TRR1002-車端部

車端部です。妻窓はなく貫通路は広幅、扉は常に開け放たれています…というか閉めた写真を撮ろうと思ったのですが経年のせいか閉めきることができませんでした。

TRR1002-広告

広告は沿線の「金太郎温泉」のものですが、これがまた見るからに前時代的で… 時代が特定できそうなアクセスを見てみると北陸新幹線は影も形もなく、北陸自動車道すら全通していない(全通が1988年)となると間違いなく昭和の時代のようです。

TRR1002-乗務員室仕切TRR1002-前面展望

乗務員室仕切です。側窓と変わらない天地寸法の窓と、出入りの頻度がそう多くないと見込んだのかやけに狭い仕切戸が特徴です。ワンマン化が進む中でここの座席は撤去し運賃箱広場と化した車両が殆どの中、本形式はワンマン化されなかったため最後まで座席を維持し続けました。地鉄では座りながらに前面展望を楽しめる最後の車両ということになります。

TRR1002-LED

ワンマン対応車ではありませんがLED式の運賃表も他形式同様設置しています。

TRR1002-床

床は濃い目の緑色一色。

TRR1002-天井

天井です。蛍光灯はカバー付き、冷房化に伴い空調吹き出し口やダクトを設けましたが後付け感もなく綺麗に仕上がっています。問題はこの冷房の効き目で、Wikipediaにも能力が低くて云々とあるのですが本当に効きが弱いんです…

TRR1002-扉

扉は幅1100mmの片開き式。扉周りには意外とスペースがあり、何やらいろいろ設けられていますが…

TRR1002-ワンマン機器

ワンマン運転に対応していない本形式ではありますが、運賃表ならまだしも運賃箱まで設置しています。恐らくICカードに対応するために共通の機器を積んだのでしょう、運転時は常に車掌が乗務しています。

TRR1002-窓

側窓は2連窓、カーテンは巻き上げ式で5段階の調整が可能です。

TRR1002-座席転換

座席は扉横を除き転換クロスシートです。名鉄ではパノラマカーが登場した後の製造ですが、その割にはそれより前、1950年代の転換座席を連想させるどうにも古めかしい印象です。具体的には肩部の取っ手が無い、転換機構の金具が背摺り側面に露出している…などでしょうか。通路側肘掛はパノラマカーに似た「エ」形。シートピッチは形式図によると920mm、引退記念貸切列車の際にメジャーを家に忘れたのが痛恨のミス…
写真でもお分かりになるかもしれませんが、背摺り(特に背骨の当たる部分あたり)の詰め物が過大で掛け心地が良いとは言えないものでした。元々こういうものなのか、経年劣化によるものなのかは分かりませんが…

TRR1002-座席固定TRR1002-座席背面

扉横は固定座席、肘掛は回転クロスシートに使うような曲線を描くものです。転換座席で気になった背摺りの詰め物については幾分まともに感じました。背面は化粧板仕上げとしています。

TRR1002-運転台

最後に運転台です。様々な機器を増設した結果多くのスイッチが雑然と並んでいます。


trainseat.net>中部地方各社局に戻る

inserted by FC2 system