富山地方鉄道10030形|FTN trainseat.net

富山地方鉄道10030形

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京阪では8000系の投入で3000系の廃車が進行しつつあった頃、都合の良い「転換クロスシート」を探していた富山地鉄が目を付けたのが本形式です。ええ座席を探していたんです、車体は阪急2800系を貰うつもりだったそうです…が、同系より10年弱新しい本形式をそのまま導入した方が良いのは誰の目にも明らか。主要機器は営団3000系の発生品と組み合わせ、1990年に登場したのが10030形です。
当初は塗装も車内設備もそのまま、京阪3000系の特徴だったテレビはわざわざ新調して観光ビデオを流していたとのことですが、その後塗装は黄色と緑のツートンに、テレビやスカートも撤去。ワンマン化改造も実施し、すっかり富山地鉄仕様になりました。

そんな中、2012年に第2編成が京阪時代の塗装に復刻。そうかと思えば翌年には京阪で引退した2階建て車を譲受、観光列車「ダブルデッカーエキスプレス」として運転を開始しました。2階建て車からの眺望を楽しむ列車ではありますが、往年の京阪特急を思い起こす列車でもあります。運用は公式サイトで公開されているので、狙って乗ってみてもよいかもしれません。


TRR1003-車内全景

車内全景です。移籍しても雰囲気は京阪時代と大きく変わらず、そして富山の地でも日車ロマンスカーが多く活躍しているこの地鉄で2扉・転換クロスシートの車内は何ら違和感なく受け入れられています。

TRR1003-車端部TRR1003-車端部2

車端部です。妻窓は無く、金箔を散りばめた化粧板も広告枠に侵食されてはいますがそのままとされています。右は京阪特急色の編成、妻扉上にテレビを設置しています。従来のものとは仕組みも設置位置も異なるようで、荷棚にはスピーカーがたくさん。

TRR1003-車端部化粧板

もう少し近寄って化粧板の様子をご覧いただきましょう。ライバルだった、そしてもしかしたらこの形式の代わりに来ていたかもしれない阪急電車の高級感に対し、こちらは雅な印象を与えます。

TRR1003-テレビ

京阪特急色の編成のテレビの様子。サイズは京阪に最後まで残った旧3000系と同じか少し小さいか…といったところでしょうか。元は乗務員室仕切の上にあったので完全な復刻ではありませんが、元の位置には運賃表が陣取っていますので仕方ありません。主にNHKを流しているとは聞いていましたが、取材時は教育テレビでした…

TRR1003-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。ワンマン化改造の前はここにも2列の座席があったはずですが、現在は運賃箱の設置で広場と化しています。以前の写真を見ると乗務員仕切りの直後に運賃箱があったようですが、ICカード導入時に運賃箱を交換したのでしょうか、扉に近い位置となり利便性が向上しています。

TRR1003-LED

運賃表はLEDと7セグメントの組み合わせ、路線が長く駅数も多いですから表示も多く、設置場所から運賃箱が遠い本形式では些か辛い部分も…

TRR1003-床

床は濃い目の茶色一色ですが、座席付近は色が剥げてしまっている部分も目立ちます。

TRR1003-天井

天井です。蛍光灯はカバー付き、その内側に所々吹き出し口が設けられています。変わった点といえば吊り広告が設置されたことでしょうか、それでも地方私鉄ですから数は少なめです。

TRR1003-扉

扉は幅1100mmの片開き式、脇には整理券発行機とICカードリーダーが設置されています。この扉幅は地鉄の車両では標準的な寸法で、この辺りも自社発注車と違和感なく共存できている理由の一つに挙げられそうです。

TRR1003-窓

側窓は1列1枚の2段窓、カーテンはワイヤ式のフリーストップカーテンを存置。窓下には座席番号プレートが取り付けられているほか、写真は元テレビカーですのでスピーカーがあった部分に蓋がされています。

TRR1003-座席転換2TRR1003-座席転換

座席は車端の妻部を除いて自動転換機構のある転換クロスシートです。京阪時代は段織りモケットを採用しておりそのまま富山にやってきましたが、流石に交換は避けられず現在は肘掛部を残して地鉄標準の赤いモケットに変更されています。自動転換は通路側肘掛内にエアシリンダーを設けることで実現しましたが、少なくとも現在は使われておらず機構が生きているかどうかも不明。
京阪3000系は増備登場で肘掛周りに変更があり、左写真の1次車では窓側に樹脂製肘掛を埋め込むような形で設置しています。また通路側も肘当て部がモケット張りだったり樹脂製だったりと異なっています。右写真は3次車の元テレビカー、窓下の塞ぎ板はスピーカーの個別スイッチの跡のようです。

TRR1003-座席固定

車端部は固定座席。転換機構のようなものも見えていますが、一方で背摺りは転換席とは異なる形状としており、側面には鍵穴が。特に機器箱があるわけでは無さそうですが、背摺りを手前に倒せたりするのでしょうか。

TRR1003-補助座席

補助座席も存置されてはいますが、取っ手が塞がれており事実上の衝立として用いられています。京阪3000系・8000系の補助座席は京阪間無停車、即ち長い時間扉が開かないことが前提で設置されているため、頻繁に扉の開閉がある列車で展開して着席すると乗降の妨げになってしまうんですね。それ以前に乗客が少なくて補助座席の出番が無いという話もありますが、鳩マーク同様封印を解いた姿を見てみたい感もあります。

TRR1003-運転台

運転台は計器類こそ引き継いでいますがブレーキの交換などで手を加えた箇所も少なくありません。

TRR1003-貫通路痕

また貫通路の部分には何やら箱が設置されており、事実上閉塞されているようです。

座席系

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その他

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