富山地方鉄道14720形|FTN trainseat.net

富山地方鉄道14720形

TRR14722TRR14722_172

日本車輌製のクロスシート車を順次導入していた富山地方鉄道、1962年には第4弾として14720形を投入します。中間に付随車を挟んだ3連で転換クロスシート装備の基本仕様は前年登場の10020形と同一ながら、電動車の構成を1C8Mから1C4Mに変更した点が特徴です。この変更の意図は今一つ分からず1964年の新車は10020形に戻ったため1編成のみの存在でしたが、1969年に10020形も巻き込んで2連化がなされた際には付随車の先頭車化を行い2連2本に改組されました。

2編成とも昭和60年代に冷房化と更新工事が実施され、前照灯の変更や車体裾の直線化などで印象が変化。10020形とは異なりワンマン化を実施したため高経年車ながら他の2連に伍して活躍していましたが、2012年に第1編成が火災で全焼し廃車。残る第2編成も製造から55年以上が経過した2019年に引退しています。今回は引退直前の第2編成の様子をご覧いただきます。


TRR1472-車内全景

まずは車内全景から。本形式より10年~20年若い車両が主力の同社にあっては各部が古めかしく見えるのは致し方ないところ、配色によるところもあるのか夜になると他形式以上に暗く感じてしまいます。それでも10020形と異なり他形式と変わらず運用されていたわけで、相応に手を加えられています。

TRR1472-車端部

車端部です。昭和60年代の更新で貫通路が狭幅化されたようですが、綺麗に仕上げてあって面影はありません。貫通扉はワンマン運転ということもあってか常時開け放たれていました。

TRR1472-乗務員室仕切TRR1472-乗務員室仕切2

乗務員室周辺です。ワンマン運転に対応するため座席を撤去し運賃箱が設けられ、仕切までは「広場」が形成されています。左は当初から乗務員室があった電動車、右は付随車を先頭車化した制御車で、乗務員室仕切までの距離が1.5m程度異なります。実際の取り扱いでは右のほうがしやすいのかな、と思ったりします。

ところで本形式は電動車と制御車で車体長が異なるのですが、これは付随車として製造された際「先頭車から乗務員室部分を切った」ような構造にしてしまったのが原因のようです。流石に変だと思った人が居たのか、本形式より後に製造された10020形では車体長を合わせるため扉間の窓を1組分増やしています。

TRR1472-LED

仕切戸上には運賃表示機を設置。

TRR1472-床

床は濃緑色。

TRR1472-天井

天井です。蛍光灯はカバー付き、冷房化に伴い空調吹き出し口やダクトを設けましたが後付け感もなく綺麗に仕上がっています。改造時期の違い、また搭載した冷房の違いもあるのか10020形とは若干の相違も見受けられます。

TRR1472-扉

扉は幅1100mmの片開き式。整理券発行機のサイズと扉横の余裕寸法が偶然一致したようで、綺麗に収まっています。

TRR1472-窓

側窓は2連窓、カーテンは巻き上げ式で2段階の調整が可能です。

TRR1472-座席転換TRR1472-座席固定

座席を見ていきましょう、まずは扉間のクロスシートから。10020形の項と同じような感想になってしまいますが、肩部取っ手が無いことや転換機構の金具の露出、肘掛形状などから登場年の割には古めかしく見えます。10020形で最後まで残っていた第3編成は転換座席の背摺り詰め物が過大で結構気になりましたが、こちらはそれもなく平面な印象。扉横は固定座席で専用の肘掛袖体を使用、国鉄特急形の回転クロスシートにも似た印象です。シートピッチは920mm程度とのこと、割と余裕があります。

TRR1472-座席向合TRR1472-座席背面

座席を向かい合わせにしてみました。背摺りの傾斜は転換座席の方が強め、座面の傾きはこういった場合固定座席の方が自然に出るケースが多いように思いますが本形式は同じくらいでしょうか。固定座席背面は化粧板仕上げとしています。

TRR1472-ロングシート

車端部はロングシート、1人あたり440mm弱の7人掛けと言ったところでしょうか。背・座ともに妙に直線的な印象で、袖仕切も独特な形状です。写真は制御車ですが奥に見える電動車の床には幅広の点検蓋が見え、これを避けるためのロングシートかと思います。では車端部もクロスシートとした10020形(第2・3編成)はどうだったか…と見返してみると、干渉する箇所だけ脚台の形状を変更して対処していました。

TRR1472-運転台デハTRR1472-運転台クハ

最後に運転台、左が電動車・右が制御車です。制御車化改造が製造から10年足らずでの実施だったこともあってか極力同じように作ったようですが、細かな部分に差異を見出すことが出来ます。


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