富山地方鉄道デ7000形
1957年に登場した富山地方鉄道デ7000形は、都電8000形をモデルにした軽快なスタイルの路面電車です。1965年までに22両が製造され、一時は地鉄軌道線の全車が本形式に統一された時期もありました。製造期間の割に外観・性能とも大きな差はありませんが、初期の車両は珍しい台車を履いていたものもあり、これの乗り心地が悪いということで7001~7011の11両は優先的に廃車されました。
その後は長らく全車安泰でしたが、2010年からT100形「サントラム」が導入されると徐々に廃車が進行。「サントラム」は2年に1両程度のスローペースで増備されていますが、今後控えるポートラムとの直通事業の方向性によっては一度に複数の廃車が発生することも考えられそうです。2009年に開通した富山都心線には入らず、南富山~富山駅~大学前間で活躍しています。
車内全景です。経年で草臥れている感があるのは否定できませんが、登場が1950年代後半とあって車体は全鋼製、車内にも木材を使っていないため極端な古さは感じないように思います。
車端部です。向かって左は降車扉で、運転台寄りに運賃箱を設置しています。他都市で活躍する同年代の路面電車では運賃箱と扉の兼ね合いでレイアウトに難がある例も目立ちますが、本形式は運賃箱に合わせて仕切を若干切り詰めたのか無理のないレイアウトになっています。車体幅や扉周りに幾分余裕があることも手伝っているでしょうか。
仕切りはびっしりと広告枠で埋め尽くされており、かぶりつき席になりそうな席も広告が壁となり前面展望は望めません。
仕切の中央上部は液晶式のモニタが設置されていますが、列車の案内は無く主に広告が流れています。
扉は中扉(入口)が900mm、前扉(出口)が800mmでいずれも1枚引き戸です。当然ステップがありますが、上り切ったところにも微妙な段差があり滑り止めが敷かれています。入口・出口とも周りの窓1枚分は座席を設けず立席スペースとしており、中扉の戸袋寄りには湾曲した手摺りなのか仕切なのかよく分からないサイズのものが設置されています。
ちょっと変わった角度から天井を見てみます。冷房は改造による設置ですが、張り出しは殆ど目立ちません。一方で本形式は屋根高さが低いらしく、吊り広告を設ける訳には行かないと設けたのが立体的な広告枠です。広告はしっかり目に入り、なおかつ立客には影響のない高さで収まっています。
床は緑系の敷物を用いていますが、経年もあってか継ぎ接ぎが目立ちます。
窓は上段固定・下段上昇で外観は所謂「バス窓」、カーテンは巻き上げ式で5段階の調整が可能です。
座席は2種類、まずは扉間の長い方から。寸法的には9人掛けくらいだと思いますが、背・座とも中央で分かれており状況に応じ柔軟に対応するのが良さそうです。モケットは地鉄標準と言っても良さそうな赤系。
短い方の座席は4人掛けといったところでしょうか。長く乗るものではありませんが、軌道状態が極端に悪い区間もあって座っていても悲惨な事態が起こったり起こらなかったり…
運転台は計器が圧力計1つのみとシンプルな構成。
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