富山地方鉄道デ8000形|FTN trainseat.net

富山地方鉄道デ8000形

写真: TRRT8001

路面電車でも冷房車が一般的になりつつあった平成初期、富山地鉄でも既存のデ7000形に冷房改造を進めていましたが、最後まで非冷房のまま残った5両は特殊な台車を履いていたことから新車で代替することとなりました。また地鉄軌道線80周年の節目ということもあり、1993年に登場したのが今回ご紹介するデ8000形です。車体はクリーム色をベースに腰板とバンパーに赤帯、裾部に緑色を配した新たな塗装とし、前面形状は強い三面折妻だったデ7000形から一変し大型1枚ガラスを用いて丸みを帯びた柔らかいスタイルになりました。主要機器も刷新されVVVFインバーター制御に電気指令式ブレーキ、シングルアームパンタなど初物尽くしです。

一挙5両を投入して地鉄軌道線の冷房化率100%を達成しましたが、非冷房車の置き換えという明確な目的を持っての登場だったため以後の増備はありませんでした。2009年開業の富山都心線(環状線)は低床車限定運用のため入線せず、また2020年に直通が実現した富山港線にも乗り入れ出来ないため、従来通り南富山駅前~富山駅~大学前間で運用されています。


TRRT8000-車内全景

車内全景です。未だに多数派のデ7000形に比べると30年の隔たりは大きく、各部の造作から近代的な電車の印象を強く受けます。配色は座席の赤いモケットを除けば灰色基調と大人しめです。

TRRT8000-乗務員室仕切

車端部です。向かって左は降車扉で、運転台寄りに運賃箱を設置しています。前面が強い折妻形状だったデ7000形に比べ運転台周りは広めに取られており、当初よりワンマン運転を前提としていたのでワンマン機器も自然に配置されています。なお均一運賃なので運賃表は無く、他形式にある液晶モニタによる電子広告もありませんでした。

TRRT8000-扉入口TRRT8000-扉出口

窓の大きさが際立つ扉は中扉(入口)が1350mm、前扉(出口)が850mmといずれもデ7000形に比べ大型化、4枚または2枚の折戸を採用しました。特に前者については2人同時に乗車できる幅として、中央には手摺を設けています。またステップは3段として乗降を容易にしています。

TRRT8000-天井

天井は空調吹出口を左右2か所に連続して設け、その外側に蛍光灯を配してすっきりした見た目としています。デ7000形では独特な形状の広告枠を設けて吊り広告に相当する機能を持たせていましたが、本形式にはそれに相当する広告枠自体がありません。

TRRT8000-床

床は明灰色。

TRRT8000-窓

窓は固定式と上部を内折れ式とした窓の組み合わせ。熱線吸収ガラスの採用でカーテンを省略しています。

TRRT8000-10人掛け

座席は2種類、まずは扉間の長い方から。背摺り・座面とも3-4-3に分割されており、1人当たり幅450mmの10人掛けのようです。側窓が大きくなった分背摺りが低くなっている点が特徴でしょうか。モケットは地鉄標準の赤系。

TRRT8000-3人掛けTRRT8000-立席スペース

短い方の座席は3人掛け。袖仕切はパイプと板を組み合わせたタイプで、製造時の流行を取り入れた格好です。見るからに背摺り・座面とも薄めな造りですが特に前者はびっくりしてしまうほど薄く、無いも同然と言っても過言ではないレベル。
この座席と中扉の間は右写真のように立席スペースとなっており、収容力の向上に一役買っています。一応車椅子スペースでもあるようで、幅の広い側扉もそれに対応してのことだったようですが、他都市に比べても低床車が幅を利かせている今となっては実に微妙な設備となってしまいました。ただ一方では窓を潰して設けた方向幕が厚くて座席を設けられなかった、という側面もありそうです。


TRRT8000-運転台

運転台は二軸のワンハンドルマスコンを採用、計器には速度計が追加されました。

座席系

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