新20系

新20系は、30系や50系など非冷房車の置き換えを目的に1990年に登場した第三軌条線区向けの車両である。20系とは外観のみならず制御装置にも変更があり、車番も従来の4桁から5桁になるなど変更点は多いが公式には20系の一員とされている。基本設計は同一ながら各線区の事情に応じ仕様を変更しているため、御堂筋線向けが21系、谷町線向けが22系、四つ橋線向けが23系、中央線向けが24系、千日前線向けが25系と呼ばれている。<詳細は各形式へのリンクの下>

21系

御堂筋線

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[10連18編成]

・1991年に登場

・当初9連で製造、のち10連化

・高密度運転に対応した性能

・2012年度から中間更新を開始

22系

谷町線

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[6連28編成]

・1990年に登場、19編成を製造

・2004年から24系9編成を50番台として編入

・2011年度から中間更新を開始

23系

四つ橋線

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[6連21編成]
・1990年に登場

・当初5連で製造、のち6連化

・住之江公園駅でのドアカットに対応

・2012年度から中間更新を開始
・2014年に1編成が24系に

24系

中央線

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[6連5編成]
・1991年に登場、11編成を製造

・近鉄線内の勾配に対応した抑速ブレーキ装備

・2005年にOTS系2編成を50番台として編入

・2004年から谷町線への移籍を開始(OTS系含む9編成)

・2005年から高速化と近鉄線ワンマン対応改造を実施

・2014年から中間更新を開始、全車施工済み

・2014年に23系1編成を50番台として編入

25系

千日前線

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[4連17編成]
・1991年に登場

・車内信号式ATCに対応

・2010年から中間更新を施工、全車施工済み

・中間更新と同時にホームドアとワンマン運転に対応

【車体】
20系はアルミ製であったが、本形式では重量をアルミ車並みに抑えた軽量ステンレスとした。なお30系も一部がステンレス車だったが同形式はセミステンレス車であり、オールステンレス車は大阪市営地下鉄では初めてとなる。
 前面は10系・20系の額縁スタイルを継承しつつも「く」の字に曲げた流線型とし、中央部の前照灯や額縁側面に埋め込まれる形となった尾灯、額縁の内部を灰色としてステンレスの飾り帯も設けた独特なデザインとなった。側面には幕板2本・腰板3本のビードが入り、側窓は一段下降式とされている。また側面中央部には行先表示器も設置された。車内では座り心地に配慮してコイルバネを追加した座席や照明カバーの設置などのサービス向上が図られている。なお増備途上で車椅子スペースとLED式の情報案内装置が設置され、従来車にも反映されている。また全区間地下線の23系・25系のカーテンは省略されている(カーテンの設置自体は可能な構造である)。

【主要機器】
 20系と同様にVVVFインバーター制御と三相交流誘導電動機の組み合わせであり、主電動機については20系と基本的に同一のものを用いている。しかし制御装置は20系の登場から6年の間にインバーターの容量が大幅に増大したため、20系の1C2M×2台から1C4Mに変更された。主電動機・制御装置とも日立・東芝・三菱の三社が製造しているが、制御装置については日立製をベースに残りの2社も製造している。
 車種構成としては電動車が2000形~2400形で2000形・2200形・2400形が両側の台車に集電靴を装備[Ma]、2100形・2300形が片方の台車のみ集電靴を装備[Mb]。付随車は主要機器の無い2500形・2800形[T]、集電靴とCPを搭載する2700形[Tbp]。制御車はいずれも補機類を搭載しており、2600形は21系を除いて集電靴を装備[Tec]、2900形は千日前線向けのみ集電靴を装備する。これらを組み合わせて千日前線の4連から御堂筋線の10連までを組成している(斜字になっている形式は御堂筋線のみ)。
 なお実際の車番は形式の千位と百位の間に各線の形式の数字(御堂筋線が1、谷町線が2…)が入った5桁になる。

【路線ごとの特徴と増備】
 1990年に登場したのは22系6連・23系5連の各7編成で、このグループは前面車番の数字が以後のグループよりも大きく目立っている。翌1991年には21系(9連)・24系(6連)・25系(4連)も登場し、毎年各線に概ね2編成~5編成程度が投入された。冒頭にも記した通り30系や50系を置き換えていったが、特に千日前線25系は同線初の冷房車であるのみならず初の新造車でもあった。このうち21系は高密度運転や長編成化に対応した装備が、23系には乗降分離のためのドアカット機能が、24系では25系では車内信号式ATCに対応した設備が設置されている。
 概ね1996年まで増備が続いたが、御堂筋線と四つ橋線は1995年からそれぞれ9連→10連、5連→6連に変更されたため、1両少ない両数の編成に挿入する中間車を1996年に製造している。その後1997年に中央線と直通運転を行うOTSテクノポート線のOTS系が、外装・内装に異なる点はあるもののほぼ同仕様で6連2編成、1998年には21系が1編成製造され、OTS系を除くと87編成560両の陣容となった(その後OTS系の6連2編成も編入されている)。

【転属】
 本形式は投入線区ごとに仕様が異なっているものの、30系や50系などで行われていた転属も当初から想定されている。勾配区間を走行する中央線向けの抑速ブレーキは運転台と制御装置の小変更で使用できるようになるほか、全区間地下線でカーテンが省略されている23系・25系でもカーテンレールが設置されている点などはその一例と言えよう。転属事例は現在までに2例あるが、いずれも中央線絡みである。
・24系の谷町線転属と高速化改造、OTS系の編入
 近鉄けいはんな線(生駒~学研奈良登美ヶ丘間)の開業に際し、近鉄線内で90km/h以上の高速運転を実施するとともにワンマン化も行われることとなり、2005年から改造が開始された。このとき24系は全編成をそのまま改造するのではなく更新時期にあった谷町線20系9編成とトレードすることになり、対象車は抑速ブレーキの設定を解除の上2004年から谷町線に転属、22系に編入され50番台に区分された。この間2005年にはOTSテクノポート線が大阪市営地下鉄に編入されたことを受け、OTS系が内外装はそのままに24系に編入され50番台[初代]に区分された。しかし元OTS系も翌年春までには谷町線に転属したため、僅か1年足らずで廃番台となった。
 一方残存した4編成は高速運転やワンマン対応改造を施工、2006年からの近鉄線内高速化・ワンマン運転に対応している。
・23系の中央線転属
 中央線20系の第1編成は製造から30年が経過しており、老朽化が進行していた。一方四つ橋線ではダイヤ改正で運用数が減少、1編成が余剰となっていた。そこで2014年、四つ橋線23系1編成に前述の中央線向け改造を、また併せて中間更新(詳細は後述)を実施し中央線24系に編入、50番台[2代目]に区分された。車番は原番号+1050としており、初代50番台と車番の重複は発生していない。

【中間更新】
 製造から20年程度が経過した2010年度から、新20系に対する中間更新が開始された。内容は外装が車体側面(幕板上部と車端戸袋)へ30000系並みの帯の追加、内装が座席のバケットシート化・スタンションポール設置や化粧板・床敷物の取り替え、情報案内装置(当初LED→途中で液晶式に変更)の設置または取替、機器類では制御装置の交換や運転台デジタル計器のアナログ化などである。
 当初ホームドア設置とワンマン化が決定していた25系から施工を開始し、2011年度以降他路線の形式にも実施している。25系は前述の事情から2014年度までに全17編成への施工を終え、また数の少ない24系も2016年度には全編成への施工を終えている。その他の形式については若番車から順に改造されている。
 2015年度施工車からは路線ごとのカラーを内装にも反映させるべく、21系・22系・24系でそれぞれ異なるモケット・床敷物・化粧板を用いるようになった。

【現況】
 第三軌条集電の5路線で使用されており、このうち四つ橋線と千日前線は全車が新20系で統一されている。また現在は谷町線と御堂筋線でも新20系が最大勢力となっている。

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