10030形

10030系は、1990年に富山地方鉄道に登場した一般型車両である。

 

車体は京阪旧3000系のものを使用しているが、計画段階では阪急2800系の車体を2扉に復元して再利用する案もあったようだ。足回りは営団3000系のものを再利用したMM'ユニット構成、主電動機は出力75kW=100馬力のため現在の形式名とされている。制動方式は他車併結を想定し電気指令式から電磁直通ブレーキに変更されている。当初は京阪時代の塗装のまま、テレビは新品に交換しデビューした。また寒冷地対策として警笛やドアレールにヒーターを追設、台車にはスノープラウを設置している。なお補助座席は封鎖されており使用できない。これら譲受後の改造は全て自社稲荷町工場で実施している。1993年までに2連8編成が導入され、旧型車を置き換えた。これにより同社鉄道線は冷房化率100%を達成、旅客車全車が高性能車となった。

 

1996年からは不二越・上滝線、翌年には本線の一部と立山線でもワンマン運転が開始され、運賃箱設置とテレビ撤去・運賃表設置などが行われた。塗装は順次黄色と緑のツートンとされ、「かぼちゃ電車」などとも呼ばれる。連結器は地鉄鉄道線の他形式と同様1990年代末から密着連結器に交換されている。また1996年の10039Fから順次台車を国鉄DT32に、主電動機を国鉄MT54に変更する改造が進められている。これにより本来であれば形式名は主電動機出力120kW=160馬力なので16030形となるべきところであるが、現在まで変更されていない。現在のところ主電動機出力と形式名が食い違っている唯一の形式である。

 

2013年8月、16010系「ALPS EXPRESS」に次ぐ観光列車として「ダブルデッカーエキスプレス」が登場した。これは同年春に引退した京阪旧3000系の2階建て車8831号を譲り受けたもので、電磁直通ブレーキ化や運賃表・ICカードリーダの設置など最小限の改造を行ったものである。前年に京阪特急色に復元、テレビ再設置が行われていた10033Fの中間に組み込まれ、引き続き2連でも走行可能なはずだが専ら3連で特急運用を中心に充当されている。観光列車とはいえ「ALPS EXPRESS」のような本格的な改造が行われているわけでは無く、あくまで2階建て車の眺望を売りにしたものである。なお他編成では通年スカートを撤去して運用されているが、本編成のみは冬季を除き京阪時代同様スカートを取付けて運用している。

  

現在は2連7編成と3連1編成が在籍し、特急から普通まで各種別で運用されている。3連は10033F「ダブルデッカーエキスプレス」で運用が固定されており、公式サイトに時刻表が掲載されている。

 

10031

10031F

TRR10033
▲2013年~「ダブルデッカーエキスプレス」*
▼塗装変更前
10033

10033F

10035

10035F

10037

10037F

TRR10039

10039F*

10041

10041F

10043

10043F

10045

10045F

※本頁の画像は*印を除きatukiさんが撮影されたものです。画像の権利はすべてatukiさんが所有しています。

編成別写真集>富山地方鉄道に戻る

inserted by FC2 system