20020形

写真: 富山地鉄20020形

20020形は西武10000系を譲受し2022年に導入した形式である。1993年に登場した西武10000系「ニューレッドアロー」は2019年に登場した001系「Laview」により池袋線特急「ちちぶ」「むさし」全列車が置き換えられ、同年度に廃車された内4両を2020年に譲受。但し4M3Tの7両編成をそのまま短縮したのでは無く、西武クハ10100・モハ10200・モハ10600各1両と別の編成のクハ10100を組み合わせた点が特徴である。富山地鉄入線後に一方の先頭車を電装、3両編成にしている。

 

【車体と車内】

車体は鋼製で、前面は曲面を描いた流線形である。扉は先頭車2扉・中間車1扉であるが、これは地鉄入線を前に組替を実施した結果であり西武時代は車椅子対応設備を備えたクハ10100形を除き各車1扉であった。塗装は淡いパープル系グレーを下から上に濃くなる3色のグラデーションを基調に窓回りは濃いグレー、窓下には赤帯を入れた西武時代の塗装をそのまま引き継ぎ、先頭車の便洗面所部分に書かれた「NRA」ロゴもそのままとした。変化点としては前面灯具下に「TOYAMA REGIONAL RAILWAY」ロゴと車番を入れたこと、また先頭乗務員室扉と客用扉の間に描かれたコーポレートマークを自社の物に変更したことに留まる。
車内は西武時代の回転リクライニングシートをそのまま存置、富山方先頭車のクハ220形の便洗面所および自動販売機も引き続き使用可能。但し自動販売機は西武時代飲料を販売していたところ、富山地鉄では鉄道グッズを販売している。一方上市・立山方先頭のモハ20021形は便洗面所を撤去しリクライニングシートをレール方向に片側2脚配置しロングシートとして用いている。また先頭車には運賃箱を、各車1か所に電光式の運賃表を設置した一方で、デッキ仕切上の情報案内装置は全て撤去している。なお詳細についてはこちらのページも参照願いたい。

 

【機器類】

西武10000系の主要機器は同社101系・5000系などからの流用品を使用しており、今回入線した車両は後者の機器を流用している。制御装置は抵抗制御、主電動機は出力150kW(≒200馬力)の直流直巻電動機で発電制動を常用する。機器類は急勾配のある西武秩父線での運用を想定しているため、地鉄線内の急勾配にも十分対応している。台車は101系・5000系などのFS342/042の軸箱支持装置を改造したFS542/042を履く。集電装置は西武時代にシングルアーム式に交換されていたが、地鉄では菱形パンタグラフに戻されている。
冒頭に記した通り3両化に際しては一方の制御車を電装しており、元々西武モハ10600形に搭載していたSIVなどを移設している。また電装した車両についてはトラップドアの新設が行われている。

 

【運用】

2020年秋に譲受した後同社稲荷町工場にて工事を実施、2022年2月に営業運転を開始した。現在は1編成のみの存在で、3両編成であることからワンマン運転は実施出来ず運用は限定されている。

 

形式写真(海側/山側)

(西武クハ10106→)クハ221[Tc]

クハ221(海側)クハ221(山側)

(西武モハ10206→)モハ20022[M CONT,PT]

モハ20022(海側)モハ20022(山側)

(西武クハ10102→)モハ20021[Mc SIV,CP]

モハ20021(海側)モハ20021(山側)

(西武モハ10606→)部品取り車

 

TRR20021_部品取り

 

西武時代の様子

西武10102F

西武10106F 

sb10102

sb10106

 

編成表
(←電鉄富山)

クハ221 - モハ20022 - モハ20021
(西武時代車番:クハ10106・モハ10206・クハ10102)

車両の動き

1993年11月

西武10102F竣工

1995年8月

西武10106F竣工

2004年9月

西武10102F 車内設備更新工事を施工

2006年9月

西武10106F 車内設備更新工事を施工

2020年2月

西武10102F(クハ10102)廃車

2020年3月

西武10106F(クハ10106・モハ10206)廃車

2020年秋

富山地鉄に入線

2022年2月

富山地鉄での営業運転開始

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