京急新1000形(1次車)

写真: kq1009

20年近くに亘って製造が続く京急新1000形、先代とは異なり車体も足回りも進化を続けているため最早何が何だか…という感もありますが、2002年登場の1次車は1998年登場の2扉・クロスシートの特急車2100形の3扉版と言った印象でした。ロングシート車の製造は約10年ぶり、その間は浅草線直通車ながら可変クロスシート「ツイングルシート」搭載の600形や前述の特急車2100形といったクロスシート車の増備が続いており、浅草線直通に対応し老朽化の進む1000形や700形置き換えの本命と言った感はありました。
車体はアルミ製で前面は一見したところワイパーカバーのスリットが「1000」と書かれている点のみが相違点と言った趣。一方側面はロングシート車ながら2100形同様窓回りをアイボリーとした塗装を採用した点が特徴、中扉があること以外は2100形並み。更に足回りも2100形と同様で起動時に制御装置が音階を奏でる「歌う電車」でもあります。

1次車は8連3編成と4連2編成、2次車は側窓配置の変更などを加え8連・4連各2編成が製造されています。近年は制御装置の更新やリニューアル工事が進んでおり、内外装それに「音」も変化しつつあります。なお3次車からは車内や機器構成の変更がありますので、何れ別項でご紹介することになりそうです。


kqN10ALA-車内全景

車内全景です。関東圏の大手私鉄でありながら10年ぶりの新造ロングシート車となりますが、車内配置や色調などからクロスシート車ばかリ新造していた10年の間に登場した2000形の3扉・ロングシート化改造車の影響を色濃く受けているような印象です。

なお天井は2100形同様の構成ながら照明カバーは無く、床も2100形がクリーム色のところ本形式は京急標準の灰色と微妙な差をつけています。こんなことを冒頭で書くのはいずれも写真を撮り損ねたからで…

kqN10ALA-車端部1kqN10ALA-車端部2

車端部は2100形同様ボックスシートを並べている点が特徴。異なる点と言えば化粧板の色合いでしょうか、本形式の妻面は側面と異なり赤みがかった色合いのものを用いています。また貫通路は既存の他形式と同様貫通扉無しが基本で、所々に片側だけ設けている箇所があります。

kqN10ALA-乗務員室仕切

乗務員室仕切、光の加減から微妙な写真が頻発し申し訳ありません。形状は2100形と同一の様子、化粧板の色合いは車端部同様異なります。直後の座席は流石にロングシートで、座席配置は概ね2000形3扉車並みであることが分かります。

kqN10ALA-扉

扉です。この写真もまた微妙なもので申し訳ありません… 両開き1300mmは標準的な寸法、扉に化粧板を貼るのは京急通勤車では珍しいでしょうか。

kqN10ALA-LEDkqN10ALA-LCD

情報案内装置はLED式のものを2100形に続いて採用。

kqN10ALA-窓

窓は全て固定式、扉間の窓が2分割されているのは1次車のみの特徴です。カーテンは巻き上げ式で3段階での調整が可能。2次車は扉間の窓を1枚としており、カーテンは幅2mを大きく超える窓で1枚となっています。

なお全ての窓が固定式というのは異常時に問題があるとの判断から、2100形に続き開始されたリニューアル工事では車端部の窓が開閉式に変更されています。

kqN10ALA-8人掛け

座席を見ていきましょう、光の加減で見辛いですが扉間の8人掛けロングシートから。2000形3扉化の際に採用された片持ち式座席を赤系のモケット共に新造車では初採用、しかし座席を5人と3人で分けるようにスタンションポールと中仕切を設けたほか、大型袖仕切も独自の形状のものを用いています。特に袖仕切を沿うようにして設けた手摺は他ではあまり見られず、どのような意図があるのか頭を回転させていますが中々思い浮かばず… 掛け心地は厚みのあるしっかりした座面のお陰で良好。

kqN10ALA-ボックスkqN10ALA-ボックス優先

車端部はボックスシートを配置。浅草線直通車ながらオールクロスシートという明確な設計思想のあった3代目600形や、クロスシートの特急車を改造した2000形はともかく、1000形を置き換える「普通の」新造車でクロスシートを設けたのは驚きでした。形状は2100形と同一、通常席と優先席ではモケットのほか枕カバーの色も変えていますが、これは元々通常席と優先席との区別を枕カバーの色の違いのみで区別していた名残のようです。背摺りの傾斜や座面の奥行きがしっかりしていることも影響してか、ボックスピッチも2100形とほぼ同等の1765mmとかなり広め。

kqN10ALA-ボックス2kqN10ALA-ボックス優先2

もう少しボックスシートを細かく見てみます。2100形と同じ形状ながら使用機会の無さそうな座面の跳ね上げ機構はありません。掛け心地は概ね良好なのですが座面に妙に硬い箇所があったのは少し気になりました。

kqN10ALA-補助座席

2100形と同様補助座席も設置されています。重さを掛けていないと畳まれるタイプのため展開状態での撮影は困難(展開状態で保持してしまう個体もありませんでした)、背摺り上部の表示灯が消灯している場合は座席を引き出すことが出来ます。

kqN10ALA-2人掛け

乗務員室直後は2人掛け。600形や2100形には叶いませんが、十分に前面展望を楽しむことができます。

kqN10ALA-車椅子スペースkqN10ALA-5人掛け

先頭車には車椅子スペースを設けており、その脇は2000形では6人掛けだったところ本形式は5人掛けとしています。袖板は樹脂製ながら高さの低いもの、肘掛としても使用できそうです。


FTN trainseat.net>京急新1000形(3~5次車)を見る

FTN trainseat.net>関東私鉄インデックスに戻る

inserted by FC2 system