富山地方鉄道16010形|FTN trainseat.net

富山地方鉄道16010形

写真: TRR16011

西武初の特急車として1969年に登場した5000系も製造から25年弱が経過した1993年、後継車10000系が登場しその役目を追われることとなりました。この特急車の購入に動いたのが沿線に観光地を抱える富山地方鉄道、狭軌・直流1500Vでそのまま使える…かと思ったらそう上手くは行きません。まず西武5000系は両先頭車が制御車・中間が電動車の6両編成、対して地鉄は3両編成が限界。ここで先頭車の電装が必須となる訳ですが、その主要機器は何と西武の後継車10000系への流用が既に決定済み。結局流用できたのは車体のみ、足回りは各社の485系、制動装置は営団3000系、一部運転台機器は京急1000形…と色々寄せ集め自社工場で改造、1995年に16010形としてデビューしました。

2編成が登場し特急を中心に運用されましたが、地鉄にとって初となる3両固定編成はやはり扱い辛かったようで、乗客減も追い打ちをかけ2004年にワンマン化と機器構成の変更を行いました。2両編成を基本とし多客時に中間車を挿入する方針としましたが、これはこれで面倒だったようで2010年には3連での運転を終了。中間車は廃車か…と思われましたが、2012年に観光列車「アルプスエキスプレス」として第2編成3両を改造し再デビュー(いずれ紹介します)。
かくして1編成のみが従来仕様で残ることになり、どうやら他形式に紛れて地鉄鉄道線の各線で運用されているようです。車両の写真は特急運用ですが、車内写真はこの手の車両に縁の無さそうな不二越・上滝線での撮影です。


TRR1601-車内全景

まずは車内全景から。「昔の特急電車」の雰囲気を今に伝えていますが、ちょっと暗めのような気がします。ちなみに本形式、古い車両の多い地鉄鉄道線の中でも10020・14720形に次いで古い車両になっており、本項作成の2019年で製造50年を迎えています。

TRR1601-車端部TRR1601-車端部2

車端部です。デッキはワンマン化に際し撤去していますが、構造上完全に撤去することは出来なかったようで窓側席程度の幅が残ってしまっています。
先頭車の車端部は元々便洗面所を設けており地鉄でも第1編成の就役直後は閉鎖して運用していたようですが、詰め込みが効かないのが問題になったようで(そもそもそういう電車じゃないですから当然ですけど…)立席スペースに改造しました。電鉄富山・宇奈月温泉寄り先頭車車端部(右)に自動販売機を設置した時期は分かりませんが、上市・立山寄り先頭車車端部(左)に座席を設けたのは2004年のワンマン化改造時のようです。

TRR1601-自動販売機

リクライニングシート付の特急車とあって、地鉄移籍後は主に特急での運用が多かったようです。特急運用を想定してか車端部には自動販売機を設置していますが、かつては他形式にもあった自動販売機設置車も現在は僅かにこの1編成のみ。それも特急運用が中心と言う訳でも無く…

TRR1601-乗務員室仕切TRR1601-立席スペース

乗務員室仕切です。この構造にワンマン機器が鎮座している違和感は結構なもの、運賃箱の設置でただでさえ狭い扉付近がより窮屈になってしまいました。それを少しでも和らげるためか、ワンマン化に合わせ座席を1列撤去しています。仕切窓は全てワンマン化改造に合わせて設けたようです。

TRR1601-LED

乗務員室仕切には運賃表を設置。改造時は液晶式だったようですが、どこかのタイミング(運賃箱のICカード対応時?)でLED式に変更されています。

TRR1601-扉

扉は幅700mmの折り戸を片側2か所配置。凡そ普通列車に使うような構造ではありませんが、そういえば富山県では北陸線にも似たような電車が走っていましたね…

TRR1601-天井

天井は中央部に蛍光灯を枕木方向に並べカバーで覆った光天井と呼ばれるもの。この構造は使用する蛍光灯も多いはずで明るくなりそうなものですが、車内全体ではどうも暗く感じてしまう不思議。空調吹き出し口はその両脇に所々設けられています。

TRR1601-床

床は西武時代の更新で通路部が赤、座席部が灰色に分かれています。

TRR1601-窓

窓は2席で1枚、カーテンは横引き式です。そういえば西武での後継車となった10000系は2席で1枚の窓にも関わらず巻き上げ式としていますが、一体どういう考えだったんでしょう…

TRR1601-座席TRR1601-座席展開

座席はリクライニングシートの1種類のみ。製造時は回転クロスシートだったものを1980年代に載せ替えているようで、現在搭載しているものは西武時代後期のものとなります。リクライニング角度は浅め、背摺りが割と低めなのが特徴です。青一色のモケットはワンマン化後に変更されたようですが、赤いモケットが標準の地鉄では異彩を放ちます。シートピッチは930mmで当時の国鉄特急より幾分広めになっています。なおここまでの写真では座席が向かい合わせになっている様子が多く見られますが、決して向かい合わせで固定していると言う訳ではありません。回転は背摺りを起こして行います。

TRR1601-座席背面

座席背面には網ポケットを設置。

TRR1601-テーブル

窓側にはテーブルを設置、一応栓抜きも付いています。

TRR1601-座席車端部

上市・立山方先頭車の車端部には座席を向かい合わせに設置。扉寄り通路側の座席はリクライニング出来るようですが、少なくとも妻側の座席は壁ギリギリに設置しておりリクライニングは厳しそう。元々便洗面所だった場所で、本来の客席に比べ照明は少なめ。

座席系

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関連項目

編成別写真集>富山地鉄16010形

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