京阪8000系30番台[2階建て車]|FTN trainseat.net

京阪8000系30番台(旧3000系) [2階建て車]

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特急の輸送力増強、また3000系特急車の魅力向上のため、1995年に登場したのが2階建て車です。従来の車両とも違和感の無い外観ですが、それもそのはず既存車の扉間の構体を取り払って2階建て部分を構築するという驚きの工法で、車両メーカーの手助けもあったとはいえ自力で2階建て車を作ってしまった訳です。塗装は従来通りですが、1階と2階の間には「時代祭行列絵図」を貼り付けているのが京阪らしいところ。デビューすると乗客が2階建て車に集中する現象も発生、8000系の8連化増備車も2階建てで増備され、乗客の間にもすっかり定着しました。
番号を改め8000系30番台として引退した2013年、誰もがこのまま解体かと思っていたところ、なんと旧3000系を譲り受け使用している富山地方鉄道が新たな観光列車としてこの2階建て車を導入。塗装もそのままに「ダブルデッカーエキスプレス」として同年夏にデビュー、水戸岡鋭治氏が携わった元西武レッドアロー「アルプスエキスプレス」とともに、地鉄観光列車の2枚看板として活躍しています。特急の場合は特急料金のほか座席指定料金220円が必要、運用は公式サイトで公開されています。

このページでは富山地鉄移籍後の姿を中心に、一部京阪時代の写真も交えてご紹介します。


【2階席】

TRR1003DD-2F車内全景

まずは2階からご覧いただきます。窮屈さは想像していたほどではありませんが、何となく雑然とした感じも否めません。

TRR1003DD-2F端部

端部です。階段は平屋部分から真っすぐ上る格好、下り階段の位置との兼ね合いで左右で座席数が異なっています。

TRR1003DD-2F天井

天井は中央に照明を集約、申し訳程度にパイプ式の荷棚を配しています。

TRR1003DD-2F床

床は通路のみ絨毯張りとして階下席に歩く音が届かないように配慮しています。座席部は柄の入った茶系のもの。

TRR1003DD-2F窓

窓は勿論固定式、8000系とは異なり上部を曲げています。カーテンは横引き式ですが、それを支えているのは上部に見えているパイプ。

TRR1003DD-2F読書灯

注目すべきは読書灯とスポットクーラーを設置している点。さてはグリーン車か観光バスかという装備ですが、2階席の場合は主にスポットクーラーのお世話になる機会が多いでしょうか。

TRR1003DD-2F座席

座席は1種類、極端に背摺りが低い固定クロスシートです。狭い2階席にあって少しでも開放感を演出するためだろうとは思いますが、880mmと狭いシートピッチと相まって座席そのものの快適さでは平屋席に遠く及びません。モケットは柄の入った青灰色、8000系の2階建て車では全席に採用されています。

803-2階座席

こちらは京阪時代の様子。何も変わっていないようですね…


【1階席】

TRR1003DD-1F車内全景

続いて階下席です。こちらは2階席に比べるとすっきりした印象ですが、一方で暗さも気になります。

TRR1003DD-1F端部

端部です。階段は片側に寄せてあり、両側とも1人掛けの側に階段が設けられています。階段の前の席には半透明の仕切りが設置されています。

TRR1003DD-1F天井

天井です。照明は直接照明ですが灯具と灯具に間があるので数が少なく暗めの印象。空調吹き出し口は一番端にあります。

TRR1003DD-1F読書灯

1階席にも読書灯とスポットクーラーが設置されていますが、こちらは空調のみならず照度も不足気味ですので両方とも出番がありそう。

TRR1003DD-1F床

床は2階席と同様の構成ですが、座席部は通路より一段高めになっています。

TRR1003DD-1F窓

窓は当然固定式、カーテンは横引き式です。窓框にはペットボトル程度の物を置くことが出来そうですが、座席と窓の配置が必ずしも一致していないことに注意が必要です。

TRR1003DD-1F1人掛けTRR1003DD-1F2人掛け

1階席は2人掛けと1人掛けの3列配置ですが、2人掛けも1人掛けを横に2つ並べたような格好である点が特徴。窓側にも肘掛があって横幅にはゆとりがあり、背摺りは2階席より幾分高めで京津線800系に近いでしょうか。モケットは全体に柄の入った濃青色ですが、この色合いではただでさえ暗く感じる階下席が更に暗くなってしまうような感も無いではありません。

まずは1人掛け。量産車にはありませんが、こちらは試作ということで2+1の配置になっています。こちらも固定座席になっていますが、モケットが濃い青系の物になっていて、枕カバーも色を違えてあります。2階席より背ずりが少し高くなっていますが、それでも通常に比べると低め。

803-1階2人掛け803-1階1人掛け

こちらは京阪時代の様子。枕カバーが2階とは異なる色でした。

TRR1003DD-座席銘板

座席には製造したノルウェー・エクネス社のステッカーが貼られています。


【平屋席】

803-2階建て車端部TRR1003DD-車端部

乗車するときの順序としては逆になりますが、最後に平屋建て部分をご紹介します。左は京阪時代、右は富山地鉄移籍後で、基本配置はそのままですが細かい点がいろいろ変わっていることが判ります。

TRR1003DD-LED

富山地鉄移籍後は情報案内装置…いや運賃表が設置されています。3両編成ですから流石にワンマン運転は行わないはずですが、この2階建て車に追加料金なしで乗車できる間合い運用がほぼ毎日1本は設定されているようです。

TRR1003DD-扉

扉は従来通り1100mmの片開き。

TRR1003DD-天井

天井です。2階建て化に伴い屋根周りが改造されたためか、カバー付き蛍光灯の内側に空調吹き出し口が一直線に続く8000系に近い形態になりました。

TRR1003DD-窓

平屋部の窓は改造前と同様、2段式でワイヤ式フリーストップカーテンを設置しています。

TRR1003DD-転換赤TRR1003DD-転換茶

座席は京阪時代の他車と同じく8000系と同じものに換装されています。モケットは京阪時代の大阪方、富山地鉄での富山・宇奈月温泉方が赤系、反対側が茶系と分かれているのが特徴です。京阪時代は赤系の座席がある大阪方が優先席とされていましたが、富山地鉄移籍後はそもそも優先席がありませんので枕カバーを取り替えています。

TRR1003DD-固定赤TRR1003DD-固定茶

妻部は寸法の関係で固定座席とされています。二階建て部分の座席よりは寸法的に余裕があり、またこの車両では唯一座席を向かい合わせに出来る区画でもありますが、車端部ですから相応に揺れることを覚悟しなければなりません。

TRR1003DD-車椅子スペース

車椅子スペースは整理券発行機の設置で使い辛くなりました。後付の配線が目立ってしまっています。補助座席は富山地鉄移籍後に他の10030系と同様に封鎖されています。

803-階段

階段は4段程度。平屋部と2階建て部分で床材が全く異なるのが改造車であることを感じさせる部分ですが、平屋部も同時施工だったはずで…

座席系

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